今月1日に報じられた宇都宮市の保育士のニュースが世間で反響を呼んでいる。市の保育園に勤務していた若い女性保育士が風俗店でも働いて副収入を得ていたとして懲戒処分を受け、保育園を依願退職をしたという話だが、悲しいのは、副業の収入は奨学金の返済や生活費に充てていたと女性が説明していたということだった。奨学金を借りてまで保育士の国家資格を取ったのに、生活もできないほど給料が安いのかという同情や憤慨の声が多かったのだ。

近年、学費や奨学金返済のために性風俗店で働いたり、パパ活を行う女性は少なくはない。

私が過去に取材した大阪の大学に通うA子も、パパ活で稼いだ金で学費を支払っていた。親は出してくれないのかと尋ねると「父親のDVが原因で家族とは絶縁した」という。A子がパパ活をしていたのは、入会審査や身分証も必要ないパパ活専用のマッチングアプリだ。当然、得体の知れない男ばかりで、性行為アリを意味するオトナ≠フ相場は2万〜3万円と格安だった。中には値切ってくる客もいて、A子は1・5万円でオトナ≠したこともあると話した。

アプリで知り合った男とホテルに行った際には、シャワーを浴びている間に財布から金を盗まれたこともあるという。なぜ、そんなリスクを犯してまでアプリでパパ活をするのか。コンカフェ(コンセプトカフェ)やガールズバーにフル出勤したほうが稼げるような気もするのだが…。そう尋ねると「客と話したり、連絡を取るのが面倒くさい」とつぶやいた。

取材から半年後、久しぶりにA子に会うとひどく痩せて髪や肌も荒れていた。聞くと、「パパ活で稼げなくなったので、本番(性交)アリの風俗店で働いている」と語った。NS(ノースキン)の裏オプ(本番)で日給2万〜3万円。コロナ禍でパパ活女子が増加したことがきっかけだった。

現代社会において、パパ活や性風俗店は貧困に苦しむ大学生や若者たちにとっては一種のセーフティーネットと化している。他の稼ぎ方を知っていれば、体を売るという道を選ばずに済むかもしれない。だが、中には「面倒くさい」という理由から、A子のように格安で体を売る女性も決して少なくない。

もし、A子が周囲に相談すれば現状から抜け出せるかもしれない。しかし、A子には相談できる友人や家族もいない。A子を通して、若者たちが抱える孤独の現実を垣間見た気がした。

■カワノアユミ 20代を歌舞伎町と海外夜遊びで過ごした元底辺キャバ嬢。現在は国内外の夜の街を取材。著書に、アジア5カ国の日本人キャバクラで9カ月間潜入就職した『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)。

以下ソース
https://www.zakzak.co.jp/article/20240215-MNCZSLAR7FLP5I42BTA4CEYQHI/