夫婦共働きの高収入カップルを指す「パワーカップル」という言葉。明確な定義はないが、「夫婦合わせた世帯収入が1500万円」「夫婦それぞれの収入が700万円以上」といった基準が用いられる場合が多い。

 2022年の調査によれば、全世帯の平均所得金額は545万7000円で、1300万〜1400万円の所得を得ている世帯は、日本国民全体の1.1%だという(厚生労働省「2022年(令和4年)国民生活基礎調査の概要」より)。

 こうした統計を見ても、パワーカップルは「勝ち組」のように見える。しかし、実態は“質素”だと語るのは、東京都内に住む平成生まれのパワーカップルたちだ。そのリアルな実像を覗いてみよう。

 都内の有名私立大学で出会い、同級生同士で28歳のときに結婚した夫・Aさん(35歳/コンサル勤務)と妻・Bさん(34歳/デザイン会社勤務)のケース。Aさんは年収約1200万円、Bさんは年収約500万円で、額面上の世帯収入は1700万円程度となる。しかし、「まったく贅沢はできない」と夫婦は声を揃える。Aさんが語る。

「昨年、満を持して都内の中古マンションを買いました。ローンは僕一人で組み、リノベーションもしているので、7000万円くらい借金がある状況ですね。月々のローンの支払いに加え、税金でだいぶ持っていかれるので毎月の暮らしはまったく楽ではないです。前職で年収800万円ほどでしたが、その時のほうが労働量も少なく、休みもしっかりとれたのでQOL(生活の質)は高かったと思います。

 もちろん夫婦で贅沢な暮らしができるわけではないし、高級レストランに行くとかはまずないですね(笑)。互いの誕生日プレゼントもBEAMS(ビームス)とかで3万〜4万円程度の小物とか服とかを買うくらいですし、日頃の楽しみといえばマンションの下にある公園で、コンビニで買ったつまみを持参して、妻と缶酎ハイで“公園飲み”をすることです(笑)。冬は熱燗におでんの汁を入れて楽しんでいます」(Aさん)

 都内の国立大学出身の男性・Cさん(32歳/不動産営業)は、昨年、年上の女性・Dさん(37歳/社長秘書)と結婚。Cさんは年収約750万、妻のDさんは年収約900万円のパワーカップルだ。

「2年前にマッチングアプリで知り合った彼女と交際を始め、昨年結婚しました。まだ新婚ほやほやです。彼女が割と華やかなタイプで、婚約指輪に約100万円、理想の結婚式をしたいというので、それも叶えて400万円ほどかかりました。これで僕の貯金はゼロになりましたね。

 彼女の方が年収は高いですが、『なるべく貯金をしておきたいから』という彼女の意思を尊重して、14万円の家賃はすべて僕が払っています。正直、都内で暮らす以上、まったくお金に余裕はないです。男同士の飲み会もだいぶ断っていますし、趣味のロードバイクやギターの機材収集も諦めモードです」(Cさん)

 そんなCさん夫婦の“プチ贅沢”は、自宅での焼肉だ。

「あと結婚してから変わったのは焼肉ですね。結婚前のデートでは、キラキラした世界観が好きな彼女に合わせて六本木とか西麻布で焼肉屋を予約したりと奮発していました。ただ、結婚式などで余裕もなくなったので、彼女には『ちょっと庶民感覚に寄せてくれる?』と、お願いしたんです。

 そこで3000円くらいの焼肉グリルをネット通販で買って、換気扇の下でおうち焼肉をしたんですよ。スーパーで国産黒毛和牛A5ランクのイチボとかサーロインとか、ちょっと良い肉を買って焼いてあげたら『結構おいしい!』と喜んでくれました。結婚前よりも派手な暮らしなんてできませんけど、色々と工夫して息抜きをしている感じです」(Cさん)

 共働き夫婦のなかでも経済的な余裕があるとされるパワーカップル。しかし、都心では住宅価格や家賃相場が高いうえ、生活コストも嵩むとあって、ぜいたくな暮らしは難しいという。そうしたなかで、それぞれが工夫しながら“プチぜいたく”を楽しんでいるようだ。

以下ソース
https://www.moneypost.jp/1118774