前回、トランプ前米大統領を支持する陰謀論集団のQアノン教団「サンクチュアリ教会」を紹介した。2020年の大統領選をめぐっては、日本でもトランプを支持するデモが全国で開催されたが、それを主導してきたのが、この宗教の信者たちだ。当時、複数の宗教勢力などもこれと共闘し、「Jアノン」(日本版Qアノン)と呼ばれた。

 そのひとつが、幸福の科学だ。教団公式ではなく、有志活動としてデモを繰り返した。デモ出発前には、主催者が信者であることを明かし、トランプのために祈りを捧げる。その上で、デモ後に東京・銀座の数寄屋橋交差点でQアノンのようなスピーチも。

「アメリカでトランプが今、ディープステートと戦っている。私たち日本人もまた戦わなければならないときに来ています」(幸福の科学職員・与国秀行氏)

 幸福の科学信者とサンクチュアリ教会は、互いが主催するデモにも参加し合った。両者がデモを共催することもあったがそんなときですら幸福の科学信者は、教祖である故・大川隆法総裁を称えるシュプレヒコール。

「ウィズ・セイビア!(救世主とともに!)」

 幸福の科学は、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の創始者の文鮮明が存命中にその霊を大川が呼び出し、地獄にすむ蜘蛛扱い。統一教会から何度も抗議を受けた。にもかかわらず、当時は統一教会信者で、いまなお文鮮明を崇拝するサンクチュアリ教会の信者たちに、大川礼賛を叫ばせるのだから、すさまじい。デモの関係者によると、どちらの教団とも犬猿の仲であるはずの統一教会の信者までデモに参加していたという。

 教祖を冒涜した相手との宗教対立すら乗り越える。それが陰謀論者のデモ活動だ。

 一連のデモには、中国で弾圧されている法輪功や、反中国共産党の中国出身者らで構成される「新中国連邦」も便乗。トランプ応援とともに中国政府批判を叫び、参加者たちの会話が中国語だらけという場面も。

 トランプの落選確定後、Jアノンはテーマを変えて活動を継続。サンクチュアリ教会信者も主催者側だった21年の反北京冬季五輪集会には、杉田水脈、三ツ林裕巳、山田宏、和田政宗といった自民党国会議員が応援メッセージを寄せた。

 11月の大統領選が迫っている。Jアノンの活動が再び活発化しそうだ。

以下ソース
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/337521