再生可能エネルギー導入に向けた規制の見直しを目指す内閣府のタスクフォース(特別作業班)や経産省のヒアリングなどに提出された資料に中国国営企業「国家電網公司」のロゴマークの透かしが入っていた問題をめぐり、安全保障上の懸念が強まっている。内閣府は「事務的なミス」を示唆するが、問題発覚当初からSNSで積極的に発言していた国民民主党の玉木雄一郎代表が夕刊フジの取材に、「日本の政策決定がゆがめられかねない。徹底調査を行うまで、再エネをめぐる議論はいったん中断すべきだ」と強調した。



問題の資料はタスクフォース民間構成員の財団法人「自然エネルギー財団」事業局長が作成したもので、内閣府に提出した資料では、各ページに中国の国営電力会社「国家電網公司」のロゴの透かしが入っていた。

資料は25日時点で非公開となっている。内閣府規制改革推進室の担当者は取材に「ずっと隠しているつもりはなく、ロゴが残っていない形での公表は、段取りが整い次第、やりたいと思っている」と説明した。民間構成員について「事実関係の究明が第一で、事実関係が分からないと処遇は決まらない」とした。

同推進室は25日、緊急の記者会見を行い、資料自体には中国企業に由来する内容はないと説明したうえで、「不当な影響力の行使を受けたということであれば問題だが、単なる事務ミスかもしれない」と語った。

玉木氏は、国が保有する経済安保情報の取り扱いを有資格者に限定するセキュリティークリアランスの観点から危機感を示す。

「エネルギーは国の安全保障に影響を与える重大な案件だ。中国の国営企業の影響を受けているのかどうか明確にしないと、今後の再生可能エネルギー政策のみならず、原発政策にも影響を与えかねない。セキュリティークリアランスの観点からも懸念はあり、タスクフォースの構成員の選定プロセスなどを徹底調査して明らかにしないと、日本の政策決定がゆがんでしまう恐れがあると非常に強く感じた」

経産省が2月27日に開催した電力システム改革に関するヒアリングでも、民間構成員が提出した書類の一部に透かしがあった。同省の外局、資源エネルギー庁の担当者はヒアリングについて「さまざまな意見を持っている方、消費者や労働組合にも聞いており、その一環でお聞きした以上でもない」とした。

ただ、自然エネルギー財団は中国などアジア各国を送電網で結び再エネの相互活用を進める「アジアスマートグリッド(ASG)構想」を提言している。

玉木氏は「政策をそういう方向に持っていこうという意図があるのなら問題だ。中国やロシアからの電力輸入に頼るような状況は国益に反する。ロシアの天然ガスに依存していたドイツと同じような状況になってしまう」と話す。

同庁の担当者はASGについては「ヒアリングの内容には含まれていないので、何とも評価しがたい」とした。

夕刊フジは財団にメールで問い合わせたが、25日時点で回答はなかった。

エネルギーは、国の安全保障だけでなく、国民の懐にも直結する問題だと玉木氏は強調する。玉木氏が注目するのは、電気料金に上乗せされている再エネ賦課金だ。

「国益の問題であることに加え、太陽光発電の推進は再エネ賦課金の形で国民負担に直結する。われわれも国会の質問などで取り上げて、まずは事実確認、背景調査ということをしっかりやっていきたい。セキュリティークリアランスに似たチェックの仕組みは必要ではないかと考える」

今後のエネルギー政策のあり方について、現在、「第7次エネルギー基本計画」の議論を行っている最中だ。

玉木氏は「エネルギーという国家の基本に関わることを議論するなかで、不当に外国の勢力を関与させないことは大事だし、疑念を晴らす意味でも政府としては責任ある調査を行い、真相を解明した上で、公平公正なエネルギー政策の議論を行えるような環境を整えるべきだ。国民の納得を得られるまでは、タスクフォースや電力システムの改革など、自然エネルギー財団を入れた議論はいったんストップすべきだ」と指摘する。

玉木氏は現実的なエネルギー政策が重要だと訴える。

「エネルギーの自給率は12%程度しかなく、化石燃料に頼っている。再エネも必要だが、原発も動かさないと自給率を上げることはできませんから、再エネか原発か≠フ二項対立に陥ることなく、再エネも原発も水力も、国内で賄える電力をいかに充実させていくかを考えるべきだ」

以下ソース
https://www.zakzak.co.jp/article/20240326-UIL2C5U7XBJVTM5S2HA5ROI67I/