正月、裸参りに行ったときのことを書くぜ。

夕刻、吾郎と竜作を伴って寺に行くと参道は既に褌野郎で満ちていた。
俺は黒の六尺、吾郎と竜作には赤の六尺を締めさせていた。
「オッ! 今年は若えの二人かッ!」一人の野郎から声がかかった。去年も会った信吉だった。今年も豆絞りだった。
「オウ!、信の字、今年も来てたか、吾郎と竜作だ、今日も使わせてやるぞ!」
吾郎と竜作は「ゥ押忍!」と挨拶し、信吉は笑って二人のケツをはたいた。

本堂に参拝したあと
「不動堂に行こうぜ! この山のてっぺんだが、山道は時間がかかる。崖を登っていくぞ。ちょっとキツイがお前らも修業と思え!」
「押忍!」
俺達は崖の岩肌に取りつくとゆっくり登っていった。俺と信吉はやがてすいすいと登っていくが、吾郎と竜作は遅れ気味だ。
「しっかりせい!」吾郎と竜作の坊主頭を見下ろしながら叱咤した。
俺達が崖を上がり終っても、吾郎と竜作は遅れてハアハア言い乍ら上がってきた。
「若いのにだらしねえぞ! すぐケツに精神を注入してやる! 覚悟しとけ!」
「ウス!」