重症化すれば「死に至る恐ろしい病」として、古くから知られてきた性感染症「梅毒」。
名軍師の黒田官兵衛をはじめ、歴史上の戦国武将のなかにも梅毒にかかって命を落としたとされる例は多い。

この梅毒の感染者が近年、日本国内で急激に増加し、大きな問題になっている。
国立感染症研究所は今年1月、昨年1年間の梅毒患者数が4518人に上ったと発表した。
梅毒の感染者が4000人を超えたのは、1974年以来42年ぶりのことだという。


なぜ今、梅毒の感染者が急増しているのか。
性感染症の臨床分野の権威であり、梅毒の症例について詳しい泌尿器科専門医の尾上泰彦氏は、「現在の梅毒の患者数は、氷山の一角にすぎません」と指摘する。


梅毒が最初に流行したのは15世紀末のこと。
新大陸を発見したクリストファー・コロンブスが現地の風土病だった梅毒をヨーロッパに持ち帰り、それによって世界中に広まったというのが定説だ。