「遺伝子組み換え農作物はすべからく健康に有害」「予防接種は自閉症の発生率を高める」「地球温暖化は人為的なものではない」…。
こうしたデマや懐疑論、陰謀論は、複数の研究機関がいくら反証を唱えようと社会のなかで長い間くすぶり続ける。
一方で、人間社会の前進に必要である科学的な知見は、デマや陰謀論のように長期間、世間の話題には上らないものだ。

陰謀論やデマといった情報は、発生する原因が単純、かつ現実にみられる複雑な要因に目をつぶるきらいがあり、ある程度の不確定要素に寛容である。
逆にサイエンスニュースはその結果に至る目的と工程が明確で、何か不確定要素があれば検証が可能である。
これら2つの情報の決定的な違いとは、査読を経て発表されたものかどうかと、そのコンテンツの再現性だ。

インターネットやソーシャルメディアが現れたいま、サイエンスニュースや陰謀論はいかにして人々に共有され広められるのだろうか?
ウェブ以前の情報伝達媒体と異なり、個人ブログやFacebook、Twitter、Tumblrなどでは情報に「SNS特有の伝播の仕方」があるのだ。
科学者やサイエンスコミュニケーターにとっても、研究で得た知見を、いかに効率的に世間に浸透させられるかどうかは興味のあるところだろう。

IMTルッカ高等研究所のウォルター・クアトロチョッキは、特定の内容をもつ情報がSNS上(特にFacebook)でどのように人に影響して広まり、社会に消費されているのかに着目。
彼自身が身をおく科学的な分野の情報、そして陰謀論やデマが、いかなるパターンで伝播するのかを調査した。

情報伝播に大きく影響するカギは、「同質性」、「エコーチェンバー」、そして「確証バイアス」である。

(イカソ)
http://wired.jp/2016/10/16/conspiracy-theory/