ハエの集団にも多様性が大切 実験で生産性最大に

小宮山亮磨2018年1月18日11時50分


 性格が異なる2タイプのハエを一緒に飼ったときのほうが、同じ性格のハエだけを集めて育てたときよりも元気な個体が多くなることを、千葉大などのチームが実験で突き止めた。
集団全体の活力を高めるうえで「多様性」が大切なことを示す成果だという。17日付の英専門誌で発表した。

 キイロショウジョウバエの幼虫には、エサを探すときに活発に動き回る「せかせか型」と、あまり動かない「おっとり型」がある。
千葉大の高橋佑磨特任助教(進化生態学)らは、エサに含まれる栄養が少なく生存競争が激しくなる条件のもとで、32匹の幼虫を飼育。
成虫になるまで生き残ったハエの重さを足し合わせ、集団全体の「生産性」を調べた。

 32匹をすべてせかせか型にすると、合計体重は3・6ミリグラム、逆におっとり型のみにすると3・5ミリグラムだった。
一方、両方を16匹ずつ混ぜて育てると、4・0ミリグラムになった。

 エサの探し方が多様になり、競争が緩和されたためと考えられるという。コンピューター上のシミュレーションでも、2タイプの割合が半々のときに生産性が最大になり、いずれかのタイプだけしかいないときに最少になった。

 高橋さんは「少数派が活躍できる環境をつくれば、全体のパフォーマンスが上がる。これは人間社会にも言えることではないか」と話す。

 論文はウェブサイト(http://rspb.royalsocietypublishing.org/content/285/1871/20172045別ウインドウで開きます)で読める。(小宮山亮磨)