「うりうりのううり」

あるところに瓜売りのううりがいました
ううりはうりがいっぱいに詰まったかごを持ちながら、街をゆく人に声をかけました
「瓜はいりませんか?瓜を買ってください」
しかしだれもううりに見向きはしません
今日はクリスマス、皆は両手にケーキと花束を抱えています
寒い冬空の下、うりを欲しがる人などいないのです
かごいっぱいのうりを売りきらなければううりは家に入れてもらえません
「ああ、お腹が空いた…指がかじかんでかごを持つのも苦しくなってきた」
ううりは頑張って人々に声をかけますが、うりは一つも売れません
どうせ売れないのならこのうりを食べてお腹をみたいてしまいたい
ううりがそんなことをかんがえたときのことです
一人のモブおじさんがあらわれました
手にはいちまんえんさつを一枚握っています
「やあううり、わいが瓜をーー」
そう言ってモブおじさんがううりに声を掛けようとしたときのことです

一人の外国人がううりのすぐ目のまえに立ちました
「君が持っているものをぜんぶ買おう」
「え、いいんですか?ありがとうございます」
「100万ユーロで足りるかい」
「そんなにたくさんもらえません、うりは安いのです」
「では君ごと買うとしよう」
外国人は自分のコートとマフラーでううりを包み込むと、ううりの手に小切手をにぎらせました

こうしてうりうりのううりは遠い異国に買われていきました