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『安室くん履いてない(1/2)』







安室透は困っていた。とてもとても困っていた。
どれくらい困っているかというとかつてNOCの疑いを懸けられキールと共に手錠で拘束された時と同じくらいに困っていた。
あの時は殺したいほど憎い男の介入により難を逃れたが今回ばかりはそうはいかない。
何故ならば困っている理由がその男だからだ。
男は踏み台の上でバランスを崩しかけた安室を支えてくれている。
しかしその手は支えるというのとは別の意図を持って怪しく蠢き、尻から太ももにかけてを撫で下ろすと得心がいったように耳元にこう囁いたのだ。
「安室さん、あなた、履いていませんね」

事の起こりは今朝まで遡る。
朝まで安室は警察庁に3日間缶詰となっていた。
組織の仕事が忙しく、公安仕事に手がつけられなかったためこの機会に全て片付けてしまおうとした結果である。
当然、睡眠など取ろうとも思わなかったため3徹だ。
さすがにシャワーと着替えは一日一回行っていた。汗まみれのシャツなど着れたものではないので。
やっと片付く目処がたち、シャワーを浴びようと席を立つ。替えの下着は昨日で切れてしまっていたがちゃんとコンビニで買っている。
抜かりはない。
部下に「シャワー行ってくる」と声をかけ、コンビニのビニール袋をひっつかむとふらふらとした足取りで安室はシャワー室へ向かった。
後ろから部下の「ゴミ捨てときますよー」の声になんと返事したかも記憶にない。

シャワー室にはクリーニングボックスがある。
警察庁の男達があまりに家に帰らず、必然的に洗濯物を溜め込むため儲けられたシステムで
同じ番号の札が二枚ついた袋に洗濯物をいれボックスに投げ込む。
すると翌日には洗濯された衣服が同じ袋に入れられて戻ってくるというシステムだ。
安室も来ていたシャツや下着などは全て洗濯袋にいれボックスに落とした。
今日はこのままポアロのシフトに行く予定なので着替えは安室透用の物である。
シャワーを浴び、さっぱりして眠気を誤魔化した安室は持ってきたコンビニ袋からパンツを取り出し……取り出し?
そこで安室は気づいた。
これ飯のゴミだ、と。