TENNさんのさらなる苦しみがわかるのが、遺書に綴られた《子供が出来ない体でごめんね》という一文だ。

「兄と多香子さんは、結婚してすぐに子供を欲しがってました。兄はたばこも結婚を機にやめたほどでしたから。
でも、なかなかいい知らせは届かへんかったんです。最近は不妊治療する人も増え、男性側に問題がある場合も多いと聞いた兄は、病院で検査を受けた。
結果、兄の体に問題があって、子供は望めないということがわかったんです」(義宏さん)

 その事実が発覚したのは、TENNさんが自殺を遂げる1年以上前のことだ。TENNさんのスマホに残された、上原と阿部のLINEにはこんなことも書かれていた。

阿部《子供欲しい》
上原《2人の子供作ろうね》

上原《私とトントンの子はどんな子かなー。》
上原《早く会いたいね》
阿部《子供ほしいわーーー》
上原《トントンのタイミングで作ろうね》

上原《子供が出来るのはタイミングだよー》
阿部《たーありがとうね。 子供作るのにも、もっといいタイミングがあると思って。
もう大人だからさー、 勢いで物事考えたくないんだ。ちゃんと計画して進めて行きたいなーと思って。》
上原《うん そうしよ》

 そのやりとりを読んでから1か月たたないうちに、TENNさんは薄暗い駐車場に停めた狭い車内で、たったひとり、この世に別れを告げた。
※女性セブン2017年8月24・31日号