「ふーむどうやら犯美さんの犯行は不可能なようですな。廊下の行き止まりの監視カメラには何も映っていない」
「あ、あの目暮警部……」
「なにかね安室くん」
「あの……その……」
「なんだねいつもは聞いてもいないのにベラベラと話すのに今日は歯切れが悪いな」
「安室さんはこう言いたいんですよ。『この映像は細工されている』とね」
「君はたしか工藤くんの家の居候の……」
「童貞大学院生の沖矢です」
「ほう童貞かね」
「ええ、院生というのはなかなか忙しくて性についての研究までは手が及ばず」
「君は整った顔をしているから少し余裕が出来れば経験することも容易いだろう。心配することはない」
「ご助言感謝します」
「えっなんで警部と沖矢さんそんな会話普通にしてるんですかー!」
「高木うるさいぞ。それでなぜこの映像が細工されていると」
「14:58頃の部分を映してください」
「高木」
「はっはい!」
「ここですね。この隅の方に布が落ちているのが少し映っています。しかし次の瞬間には消えている」
「本当だ!」
「よく気づきましたねこんな少し映りこんでいるだけのもの」
「それは、安室さんからご説明いただきましょうか」
「なんで僕が……」
「だって安室さんはよくご存じでしょう?これがなにか」
「……あなただって知っているじゃないですか……」
「そうですね。私はよく知っていてあなたも知っている」
「これはなんなのかね安室くん」
「教えてください安室さん!」
「……これは僕のパンツです」
「「パンツ?」」
「そうですこれは安室さんが今はいているパンツです。ほらこの通り」
「ばっ……!ズボン下げるなぁ!」
「なるほど確かに同じ色だ。しかしなぜあんな場所でパンツ脱いだんだね?」
「それは私からお答えいたします。私と安室さんはあの場所でセックスしていました」
「なんと、セックスをか!?」
「はいセックスです」
「それはどれくらいの時間だったのかね」
「そうですね立ちバックで2発、駅弁で1発なので45分程でしょうか」
「すると少なくとも45分間の映像が差し替えられているというわけか」
「そのあとさらに体位を変えようとしたところで人の気配がしたので慌てて天井に張り付きました」
「すると君たちは犯人を見たのかね」
「はい見ました。犯美さんです」
「ようし犯野犯美を殺人容疑で緊急逮捕だ!」
「はい!」
「助かったよ沖矢君安室くん。しかし廊下での性行は感心せんな」
「スミマセン。安室さんが我慢できないおっしゃるもので。なにぶん私も童貞ですし」
「童貞が迫られては抵抗も出来ないな。今後は経験を積んでくれたまえ」
「はい、安室さんとともに」
「いやはや若さとは良いものだなぁはっはっは」
「これ別にセックス云々のとこ言わなくても良かったですよね沖矢さん」
「恥ずかしがる安室さんが可愛らしかったので」
「沖矢さんの意地悪……でも好きです……」
「僕もですよ」

HAPPY END