楽しそうなとこに割り込みSS
赤安で時系列なぞ



「あなたさえいなければ……僕は完璧だったのに……」

降りしきる水の中で安室は弱弱しくつぶやいた
赤井はその震える肩に思わず手を伸ばし、だが触れる前にためらうように指を握りこんだ
「すまない」
赤井にはそれしか言えなかった
安室がこれまで築いてきたもの、そのひたむきな努力、すべてそばで見てきた
それを自分がすべて台無しににしたのだ

「やめてください。謝ったって戻ってこないんだ……僕の砂のお城」

安室の目線の先には無残に崩れた砂の残骸
そう、安室と赤井は探偵団の子供たち5人と海水浴に来ていた
凝り性の安室が歩美にねだられ、やたらディティールの凝った城を完成させんとしていたその時、
赤井が光彦や元太に向けていたシャワーを誤って安室たちの方に向けてしまった
哀れ儚い砂の城は崩れ去った
呆然とする安室とそんな安室を見てやはり呆然とする赤井
安室に向けたシャワーを下すのも忘れ大人二人は降りしきる水の中で見つめ合うのだった

「馬鹿らしいわね、歩美ちゃん、あっちでかき氷でも食べましょ」
「えっえっ安室お兄さん泣いてないかなあ?大丈夫かな?」
「赤井さんが何とかするだろ。おーい光彦!元太!俺たちも休憩しようぜ」
「ぼくブルーハワイがいいです!」
「俺うな重!」
「うな重はねーよ」

30分後海の家に合流した赤井と安室はやたら仲が良くなっており、安室は先ほどまで開けていたパーカーのチャックをなぜか上までしっかり上げているのだった

「ほらやっぱり馬鹿らしいじゃない」