「先生、ここの解釈なんですが……」
「ああ、ここは〜なむ〜こそで……」
「これは恋の歌なんですね」
「そうだね、貴方恋しさに泣き暮らしています。ふふ、昔の人は繊細だね」
「先生もそんな経験が？」
「……あるよ。今、僕は恋をしている」
「それは……恋人相手に、ですか？」
「違うよ僕の片思い」
「先生みたいに素敵な人が片思いだなんて」
「……。昴くんは？恋、してる？したことある？」
「私は受験勉強に手一杯で恋なんてしてる暇ありませんよ」
「目指せ東都大！だもんねぇ。じゃあ大学入ったら初恋デビューだ」
「もう、からかわないでください」
「からかってなんかいないさ。学ランを脱いで、眼鏡もお洒落なのにして、ああ髪もワックスで軽く遊ばせたらいい男になるよ！」
「そういうの興味ないです」
「勿体ないなあ……でもそうか、じゃあしばらくは僕だけの昴くんだ」
「安室先生はすぐそういうこという。好きな方がいるんでしょう？」
「うんいるよ。でも僕の恋は叶わないから」
「恋人がいる方なんですか？」
「ううん、初恋もまだみたい」
「じゃあ先生が好きって言ったらすぐに恋に落ちますよ」
「嘘ばっか。もう何回も好きって言ってるのに全然本気にしてくれないんだ。もうすぐ、きっとみんな魅力に気付いちゃうのに」
「どうしてですか？」
「今はその気ないみたいだけど、凄く素敵な子だからめざとい女の子はきっと好きになる。女の子が言い寄ってきたら僕は敵わないよ」
「ふむ……。その子、という呼び方は先生より年下と思われる」
「うん」
「何回も好きって言った。私も何度も言われてますね」
「言ったね。いっぱい」
「極めつけは女の子が言い寄ってくる。相手は男性、なんですね」
「そうだよ。男の子だ」
「先生私が好きだったんですか」
「……」
「なんで今さら黙るんです」
「言ったらカテキョクビになるから」
「なりませんよ」
「なるよ！今まで冗談っぽく好き好き言ってたけど本気だってバレちゃったら教え子年下DKに手を出す変態だろ！クビに決まってる」
「先生手なんて出さないじゃないですか」
「当たり前だよ一緒の部屋にいるだけでこんなにドキドキしてるのに！」
「どれ」
「うわ！どこ……触って」
「先生の胸です。ああ、本当だ。とても鼓動が早い」
「わかったらもう手を離して……ドキドキで死んじゃいそう……」
「死んじゃだめです。先生はこれから僕に手を出されるんですから」
「え？」
「言ったでしょう？先生が好きって言ったらすぐに恋に落ちるって」
「ま、まだ言ってないよ！」
「言ったも同然。僕の初恋泥棒さん、責任とってくださいね？」
その後めちゃっくす