SS K降(4/4)

また来る気なら差し入れは煙草以外にしてほしいと最後に彼は言った。少しだけ嬉しそうに。「嫌煙家なんだ」「嫌いな奴がヘビースモーカーでね」

「…ああ、そうだ。針と糸を持ってきてると嬉しいかな」
「針と糸?」
「そう。つけてあげるよ、ボタン」

自分の手首を指さしながら、彼は微笑む。

「なんでかな、君に捕まって欲しくないんだ」

警察失格かな、と儚く目を細めた彼の顔を、俺は今までで一番美しいと思った。