風降SS パパ活を装ってデート?

「降谷さん、お待たせ致しました」
「いや、僕も今来たところだ。…って君、なんでスーツなんだ?」
「え?いや…降谷さんからの招集でしたので」
「ふふ、招集なんて大それたものじゃないさ、ただあそこに行きたくて」
「…カフェ…ですか?女性が沢山並んでるようですが」
「ああ。そこのパフェがやたらと評判でね…今度ポアロで新メニューを作る際に参考にしようかと思って…というより、競合するものよりは差別化できたものを作りたいんだ、なるべくね。あと、甘いものが食べたくなったから」
「あの…ひとつ聞きたいのですが、なぜ自分を呼んだのでしょう?降谷さんはともかくとして自分のような人間はああいった店には不釣り合いな気がするのですが…」
「ひとりで行くとな、目立つんだよ…この容姿だから仕方ないんだがな。君みたいな堅物そうな男が居てくれた方が隠れやすいだろ?」
「そ、そうなのでしょうか…」
「そういうことにしといてくれ。ほら、並ぶぞ」

「女性と…カップルだらけですね。我々以外に男の二人組なんていませんよ」
「ああ、気まずいな」
「逆にこれ注目されてません…?」
「君がスーツ着てくるからだろー」
「貴方の格好が若いのもあると思いますが」
「確かに。やたらと危ない関係に見えるな…いっそそういうことにするか?」
「えっ」
「僕は君のことを『パパ』って呼んで、君は僕を…そうだな、『透くん』とかいいんじゃないか?こうすれば周りに事情察してもらえるだろう」
「い、いいんじゃないかって…」
「ねーねーパパぁ、僕これ食べたいなぁ」
「ぱ…ンン…そ、そうだね透くん、好きなだけ頼んでいいぞ!」
「すいませーん、このパンケーキとパフェと、あとこのゼリーに…プリンもお願いします。え、サイズ2倍?せっかくなのでそうしてくださいっ」
「そそ、そんなに食べるんですか…?」
「そんなに不思議かな?パパは甘いもの嫌い?」
「嫌いではありませんけど…」

「わぁ…美味しそう、いただきまーす」
「う、見ただけで胸焼けが…」
「歳?」
「はは、歳ですかね…1歳しか変わらないんですけどねぇ…」
「こーら、いまの君はパパだろ?…卵は多めか。カラメルに少し変わった風味が感じられるがこれは…パンケーキの方はふわとろ…ふむ…ん?どうした、そんなに見つめて」
「いえ…特に理由はないのですが」
「まったく…ほら、パパも食べて。少しくらいなら大丈夫でしょう?」
「自分はふる…透くんが幸せそうに食べてる姿でお腹いっぱいなので」
「……き、君たまに恥ずかしいこと言うよなぁ」
「今の自分はパパじゃないんですか?透くん」
「う、ぐぬぬ…」