前スレでみかけた👺🐱SSすごいすこ
貼っちゃう

👺😺SS新婚 元DV彼氏アリ



「今日は……夕飯どうしますか…?」
思いきって背中に声をかける。
低い声で短く「いらん」とだけ帰ってきた。男は振り向きもしなかった。
玄関のドアが閉まり、男の姿はすぐに見えなくなる。彼は冷えた廊下で立ち尽すしかなかった。
救ってもらってからもう一ヶ月になる。
逆らえない恋人から彼を強引に引き離し、依存がないと怖いと泣く自分を抱き締め続けた男。感謝していた。それは今も変わらない。だからこそ男にそ分を返そうと必死だった。
けれど彼が尽くせば尽くすほど男はそっけなくなり、やがて会話が減った。
どうすればいいのか分からない。今までは奉仕することが当たり前すぎて、その他にどう行動するのか学んで来なかったのだ。
セックスの頻度は低くない。寝ている時は言葉を交わさずとも気持ちが伝わっていると思っている。ピロートークはなくとも、イッたあとも肌を密着させることは許されたいたからだ。
前の彼氏はそれをうっとおしいと彼を叱った。

男の帰宅はまちまちだ深夜もあれば夕方早いこともある。最初は待っていようかと思ったが、時期に連絡が入るようになった。帰宅に合わせて起きるようにしていたが、それをすると止めるように言われ、また彼は戸惑った。
男の喜ぶことだけがしたいのに。

簡単な夕飯を作り終えて、彼はベッドに入る。一人分の食事を食べ終わるのはとてもつまらない作業だった。携帯を見ると簡素なメッセージが一件入っている。帰る時間だった。その時間起きれるようにアラームをセットし、早めに彼は眠りについた。

携帯が鳴る前に目が覚めた。部屋は静かで物音一つしない。彼の眠りも浅くなく、それでも起きたのは髪をすく暖かな手があったからだ。
すぐに誰か悟る。男は寝ている彼の頭を撫で、起きているかとか眠ってるかなんて一切聞かずに喋りだした。
「好きなときに好きなことをしろ。別に俺を優先しなくていい」

彼は体を固くした。言葉の意味を考えようとした。なにか、不機嫌にさせたのだろうか?正解が分からない。

「…時々こうやってシーツの中で俺を迎えればそれでいい」

体の強ばりを解くように手が首に回り擦られる。その体温を感じながら、彼はゆっくり腕を開いて男を受け入れた。怖いことなんてなにもないのに、涙腺から涙がこぼれた。