おきぬいが出てくる赤安SS※スコッチ死亡の真相ネタ注意2/2

おきぬいの囁きにあの場面がフラッシュバックする
胸に空いた穴から血を滴らせるあいつ、顔に返り血をつけ拳銃手に振り向くライ、そして駆けつけた自分ーー
場面が逆流する
自分が階段を昇る場面が巻き戻る
そしてリスタート
カンカンカン
やけに足音がうるさい
ああこんなに大きな音を立てたら屋上にいる二人も気付くな
銃を奪われたライは自殺しようとするスコッチを止め、説得しようとして、そこに、足音
「……僕が」
「違います」
「ぼくのあしおとが」
「違いますよ安室さん。悪いのは全部赤井秀一です」
「違う違う違う!僕が、僕の足音が、僕の足音で!」
「赤井が止めなかったんですよ」
「赤井は止める!そんな男じゃない!赤井秀一だったら……あいつを殺したりしないんだ!」
「違う!俺のミスで彼は死んだ!」
突然抱き締められて思考が止まる
肩にいたはずのおきぬいは消え、彼が触れていた耳には赤井の手が置かれている
「赤井……?」
「俺が手を離したからいけないんだ……」
今まで聞いたことのない赤井の悲痛な声にそれが真実であり、また偽りであることを知る
やはり真相はそうなのだろう
赤井は銃を奪われ、止めたところで安室の足音で隙が出来、そして彼は引き金を引いた
「なんで今まで言わなかった……」
「自分のミスで死なせたなんて言ったら、君に恨まれると思った」
「言わない方が恨みます……!あなたのせいじゃないじゃないですか……!」
「……俺は俺のせいだと思っている」
「僕は僕のせいだと思ってますよ!」
安室は目頭が熱くなってくるのを感じる
泣くな、こんなのただの自己憐憫だ
赤井は安室の頭に回していた手に力を入れ肩口に押し付けた
「一つ提案がある」
「……なんですか」
「2択だ。一つはこの件は俺と君との50:50とすること。納得できないが」
「僕も……納得出来ません」
「だろうな。100:0で俺にくれ」
「ふざけんなぁ……もう一つは」
「もう一つは全部あいつのせいにすることだ。死に逃げで許されると思うなと」
「へっ」
思っても見なかった選択肢だ
赤井はスコッチの死を悼んでいると思ったし実際責任を感じているようだった
思わずポカンと赤井を見つめた安室に赤井はニヤリと笑いかけた
「生きてる間はこの件は全部あいつのせいにしてしまおう。文句や反論は、俺たちがあいつのところに行った時に聞いてやると言うことで」
なんだそれは
おれが助けられなかったのに、死んでしまったのに、悪いのはあいつ?
そんなこと、そんなこと……
「それで行きましょう」
まったくその通りだ
「思うところはあるが、つまるところ奴は組織壊滅のための手を一本無くした。重大な過失だ」
「ええまったく。あいつがいたら少しは楽だったでしょうに。なにサボっているんでしょうね」
「あっちに言ったらあいつが立てられなかった手柄の話をしてやろう」
「勿論です。まあ貴方に話すネタを譲るつもりはありませんが」
「ホォー……言ったな。おれも負けるつもりはない」
目線を合わせ不敵に笑いあう。
そうだ今過去につまずいている暇なんてなかったんだ
「結構単純な方だったんですね安室さん」
いつの間にか現れたおきぬいが肩で呆れる
その顔を弾いて(綿だから衝撃は吸収された)安室は立ち上がった
そんな安室を赤井はまぶしそうに見上げた
「ああそうそう」
安室は赤井を振り向いた
「僕、沖矢昴のこと好きだったのかもしれません。……幻を見るくらいに」
そう告げた途端赤井は慌てて立ち上がる
「どういう意味だ安室くん!」
その必死な顔がなんだか面白くて明日も組織潜入頑張ろうと心に誓う安室だった
「いやだから沖矢昴が好きってどういうことだ!俺は!?」