元恋人もなんとなく付き合っただけなのね

ある日、本屋に立ち寄った孝之は同級生の内気な女の子と出会う。
その数日後、夏祭りに誘われた孝之と慎二の前に現れたのは、本屋で出会った女の子、水月の親友である涼宮遙であった。それ以降、水月は必死に遙を3人の輪の中に加えようとするが、自分を避けようとする遙の仕草に孝之は苛立ちを募らせていく。
そんなある日、水月に呼び出され学園裏の丘に向かった孝之だが、待っていたのは水月ではなく遙だった。
そこで孝之は突然、遙に好きだと告白される。ただ彼女を傷つけることを恐れた孝之は、その告白を受けてしまう。

流されるままに交際を始め、それゆえに危機を迎えつつも、それを乗り越えて遙との絆を深めた孝之はその関係に落ち着きかける。
しかし、その平穏は長く続かなかった。遙は孝之とのデートの約束をしていたある日、交通事故に巻き込まれ、それきり意識が戻らない状態になってしまう。

事故から3年後。回復を絶望視されていた遙が奇跡的に昏睡から目が覚めたとき、既に孝之の周囲の人間関係は3年前とは一変していた。
孝之は遙を失った失意から辛うじて立ち直り、その悲しみを共有できる相手でもあった水月を人生のパートナーと定めて、新たな人生を歩み始めていた矢先だったのである。
理不尽な事故によって修復不可能になってしまった人間関係と、事故の後遺症により眠っていた3年間の時間経過を認識できない遙との板挟みの中で、運命を狂わされてしまった人々の苦悩が描かれていく。