風降SS 酔っ払い降谷さん
「かざみー歩くのおそいぞー!」
「ふ、降谷さん、いくら何でも酔いすぎですって…こんなにお酒弱かったですっけ?」
「そうかー?でも久しぶりに君と飲んだから、そのせいで浮かれちゃったのかもな!ふふっ」
「まったく、この人は…」
「なあなあ、もう一軒いくか?あそことかどうだ!」
「流石に終電に間に合わなくなりますよ…自分はここから近いですけど降谷さんは電車逃したら…」
「えー、君真面目だなぁ!いいことだ!」
「痛っ!ちょ、降谷さんの1発結構重いんですよ」
「あぁごめんごめん。よしよし」
「ちょ、周りの目もありますから…!」
「誰もいないだろ?つまんないなー。ん」
「…なんですかその手は」
「もう歩けないから運んで」
「はいぃ?」
「部下がつれないので歩くの嫌になっちゃいましたー」
「は、はぁそうですか」
「そうですかじゃないだろそうですかじゃ。抱っこでもおんぶでも好きな方を選ぶといい。でも僕はおんぶの方がいいな」
「選択肢ひとつしかないじゃないですか……分かりましたよ。はい」
「物わかりのいい部下は好きだぞ。よいしょっ」
「よっ…と、じゃあ、行きますよ」
「ん…風見の背中、広くてあったかくてきもちいい…」
「み、耳元で話されるとくすぐったいのでやめてください」
「そうか。…ふーっ」
「うわぁっ!?い、言ったそばから…!」
「はは、耳赤くなった」
「あんまりイタズラすると落としますよ」
「君に限ってそんなことはないだろ。…なあ、風見」
「なんですか…」
「実は僕、酔ってなんかないんだ」
「は…?」
「酔ったフリしたらこういうことできるかなって…ずるかったかな」
「あ、あなたって人は…」
「…怒ってる?」
「怒りませんよ…。降谷さんが甘え下手なのは知ってますし」
「じゃあ、このままでいいか?…その、顔真っ赤でみられたくないのと、あと…安心するんだ、君の背中」
「…もちろん、構いませんが」
「ふふ…ありがとう。あと、時間大丈夫か」
「え?あ、あーっ!終電…!」
「これは君の家に泊まらなきゃなーこまったなー」
「降谷さんまさかここまで計算して…」
「ぼく何のことかわかんなーい」