>>785
全寮制、寮官制度、お上品な制服
レイはそれらをどこかしっくりこないように感じていつつも与えられた『義務』は果たすべきだと考えていた
薔薇の咲きほこる裏庭、隠れた噴水
お坊っちゃまたちの学舎とはいえ思春期の男しかいないここでは魅力を感じない人気の少ない場所
時々訪れる『義務』への疲れを感じるとここに訪れることにしていた
薔薇はなにも云わないから
「おや、ここは俺の特等席だと思っていたんだがね」
突然掛けられた声にびくりと体が跳ねる
振り向いた先にいたのは癖のあるブルネット、グリーンアイ、上級生を示すチャコールのタイをだらしなく緩めた大層見目のいい男だった
「ベージュのタイってことは2個下か。それで薔薇の妖精くん、君は何をしてるのかな?」
「なにって……」
なんと答えようか目線を泳がせると男の左手にはタバコ
カッとなって思わずはたき落とす
「こんなもの!校則違反ですよ!」
男は気にした様子もなく薄ら笑いを浮かべるとすいっとレイに近付いた
「自分だって校則(それ)から逃げてきたくせに」
そういうとちゅっと頬にキスを落としじゃあなと一声掛けて寮へ消えていった
胸の内を見透かされたショックで立ち尽くすレイが頬にキスされた事実に気付いたのはその2分後だった

そんでその後、同室同期5人に話して情報通萩原から不良の赤井先輩だよって噂話教えてもらう