「なぁ、松田もうすぐだな警察学校に戻るの。」
萩原の言葉に松田は読んでいた雑誌から目を離して視線をそちらへとよこす。
「あー...また月末から2ヶ月共同生活だな。」
そういってガシガシと左手で頭をかきながらテーブルの上の煙草へと右手を伸ばす。その眉間には皺が寄っており如何にも嫌ですと意思表示をしているようだった。
「松田潔癖だから共同生活とか嫌いそうだもんなぁ。」
「ただでさえ男なんてむさ苦しいやつばっかなのに共同生活とか俺警察になるため以外なら絶対嫌だね。」
「確かに女の子いればちょっとはあれなんだけどなー♡」
萩原はそう冗談をいってはは、と笑いながら同じく煙草を咥える。んっと先に煙草に火をつけていた松田がライターを差し出す。
「部屋割りどうなるんだろうなぁ」
「さあな。とりあえずめんどくさいやつじゃないといいけどな。」
「俺らまた一緒だったりするかな?」
萩原が言葉と共にふーっと吐いた紫煙はゆらゆらと立ち昇り空気中へと消えていく。
「別にそれは構わねーがお前今度二段ベッドは下な。」
「なんで?!」
淡々と答える松田に対して萩原はオーバーにえ〜などと言いながら抗議する。
「お前夜中にトイレに起きる度にいつも下にいる俺のベッドに潜り込むだろ!」
「あ〜なんか昇るのめんどくさくて...」
「大の男がベッドで二人で寝るか普通?」
「松田サイズ的にそんな大きくな...痛い痛い!つねるのやめて!!」
ギブギブ!タンマ!などと悲痛に喚く萩原の顔をしばらく見て少しは気を晴らした松田はパッとその手を離す。
「...ったくお前が縦にでか過ぎなんだよ。」
「松田の馬鹿!」
もう知らないと言うと萩原は松田のベッドでふて寝を始めた。
「馬鹿はどっちだよ...。」
そういって松田は部屋の隅の冷蔵庫を開けミネラルウォーターを取り出す。
「でも降谷たちにも久々に会うの楽しみだな〜。」
「まあな。」
パキッと音を立てて開けたペットボトルからグラスへと移し、それをぐいっと煽る。ベッドの方へと振り返って見ると萩原は瞳を閉じて既に穏やかな顔で寝息を立てていた。
「...人の気も知らないで。」
松田はそういって自分の唇の端に零れた水滴をぐいっと拭った。