SS (萩)松 会話文なし 時事ネタ 1/3

自宅を出て数分もしないうちに流れ出てきた額の汗を拭いながら松田は小さく舌打ちした。
毎年恒例のことではあるが今年は特に暑い夏が続いていて、連日ニュースでは熱中症の注意喚起がとどまるところを知らない。
去年までは地球温暖化がとか未来の地球がどうとかそんな話もよく聞いたものだが、流石に40℃以上のこの異常気象の前ではそんな綺麗事を主張する輩はいないようだ。
冷房を控えるなどただの自殺行為だし、仕事でも特別大事な用がある訳でもないのにこの炎天下の中出歩くなんて普通ならもってのほかだ。
…そう、この真っ昼間からわざわざ出歩くなんて馬鹿げてる、普通なら松田だってそう思うはず、なのだが。

ジリジリと照り付ける太陽をサングラス越しに睨みながら煙草を吸うか逡巡して、松田が結局取り出したのは携帯電話だった。
画面は先程開いたページそのままの状態になっている。
こいつを見なければわざわざこんな嫌な気分にならずに済んだのに。