晒し者にってりゅ


 台風21号により孤立した関西国際空港(大阪府泉佐野市)で、不安な一夜を明かした利用客は5日朝、臨時の高速船で救助され、神戸空港(神戸市)に到着した。
「旅行が台無し」「眠れなかった」と、一様に疲れた様子で、重い荷物を引いて足を速めた。

 神戸空港の高速船ターミナルには午前7時ごろから約100人を乗せた船が、ピストン輸送で順次到着。
友人と第一便で脱出した大阪市の会社員山田美樹さん(25)は「エアコンも効かないビルに缶詰めで早く出たかった。
まずは風呂に入りたい」と疲れた表情。周囲の音も気になってほとんど眠れなかったという。

 「まさかこんなことに。旅行が台無し」と、肩を落としたのは神戸市の中武昌子さん(73)。
夫婦でチベットに行く予定で、夜には再開するというツアー会社の説明を信じて空港に残り、帰れなくなった。
説明不足で水や食料の配給も勝手が分からず、硬い床に横になり、持参した菓子などを食べて過ごしたという。
 追い打ちをかけるように、出発前、神戸空港の高速船ターミナル近くに止めていた車も台風被害を受けていたことが判明。
浸水して動かない車を前に「まさに、踏んだり蹴ったり」と、ため息をついた。

 インド旅行に行くはずだった香川県坂出市の茶本正博さん(67)は、情報の不足に注文を付けた。
被害状況や復旧見通しなどに関する空港側からの説明はほぼなし。
停電や通信状況悪化で自由に情報収集することもできなかったといい「不安解消のため、責任者が出てくるべきだ」と憤った。
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