「私が受けの婚約者を殺すわ」
当て馬は殺す。それがこの作品のファンで、攻めちゃん×受けちゃん婆である私のジャスティス。この世界の法は私だ。
「ハッハッハッハッハ! アーッハッハッハッハッハ!」
突然、攻めちゃんが激しく笑い出した。
「何がそんなにおかしいのよ?」
「あいつを殺すって! 靴も履いていない女が随分大それたことを言うじゃないか!」
「裸足で何が悪い! 推しカプに対する私のパッションをなめんじゃねぇわよ、婚約者は絶対に殺すわ」
「おまえがなにを言っているのかわからんが、いきなり青姦に乱入してきて拍手しながら号泣する基地害だ。おまえなら人殺しをしてもおかしくはないな...」
ふいに口元を弛ませた攻めちゃんは「ついてこい」と促すように顎をしゃくると、路地裏から表通りに歩き出した。
「おまえ、おもしろい女だな。久しぶりに笑わせてもらったから靴くらい恵んでやるよ」