あーん遅筆だから出遅れたわ

>>53
短いシャッター音が寂れた路地裏に響き渡る。焦れるようにスマートフォンの画面へ目を向ければ、つい先ほどまでいた大通りの景色が、この目で見たままに切り取られている。
そう、これはまさしく、恋い焦がれてやまない「わいわい☆ラブ」の景色。ABの通う学校への通り道そのものではないか。

そんな、まさか。本当に……?

呆然と立ち竦んでいると、ふいに背後からひそやかな笑い声が聞こえた。弾かれたように振り向く。
そこにいたのは奇妙な出で立ちの男だった。