――人間ドラマの部分には、映画オリジナルの設定が盛り込まれていますね。

樋口:いちばん大きく変えたのは、エレンの(巨人に立ち向かっていく)動機でした。目の前で母親が食べられてしまったというのでは、男として弱い気がしたんです。
母親が殺された復讐を果たせたら、それでいいのかよ? って(笑)。もう少し、彼に負わせる十字架を重たくしたかった。
何を失えば、エレンはいちばん不幸なんだろう? と諫山さんや(脚本を担当した)町山(智浩)さんと話したときに、ミカサ(水原希子)じゃないの? ということになった。
自分の手から取りこぼし、奪われてしまったミカサを、どうやって取り返すかという物語にしていこうと。エレンにとって、何が地獄で、何が幸福か? というところから、物語をもう1回組み立て直していくなかで、エレンを取り巻く人間関係も作り直していきました。