婆室「……コホコホ」
爺井「……まだ辛いか?」
婆室「あら、貴方まで起こしてしまいましたか。すみません。だいぶよくなったんですけどね、まだ時々喉がイガイガするんです。」
爺井「……そうか。明日の朝食は俺が作ろう」
婆室「いえ、いいですよ。大したことありません。少し咳が出るくらいでもう平気ですから」
爺井「いや。俺が作る。何も問題ない。目覚ましは消しておこう。少しでも長く寝るといい」
婆室「いいって言ってるのに…。でも言い出した貴方は意見はなかなか曲げませんしね。わかりました。明日の朝食はおまかせしちゃいます」
爺井「ああ。任せておいてくれ。明日の朝は淹れたてのコーヒーの香ばしい匂いと甘く優しいメープルの匂いに包まれて起きれるぞ」
婆室「ふふふ。張り切っちゃって。いいんですよ。簡単なもので」
爺井「ああ。大事な君がたっぷりの睡眠をとり、まだ寝癖のついた無防備な頭のままぼんやりした足取りでテーブルを見て優しく微笑み俺の前に現れる幸せに俺が酔いしれる程度のセッティングしかしないさ」
婆室「なんですか、それ。ふふふ。」
爺井「セッティングしか俺はできないからな。後は君次第だ。俺と向かい合う席に笑顔の君が着いたら完成だ。俺の最高の幸せに君は協力してくれるかい?」
婆室「ふふふ。そうですねぇ……シナモンのたっぷりきいた焼きリンゴも用意してくれますか?」
爺井「希望とあらばもちろん!」
婆室「じゃあきっと協力できますよ」
爺井「明日の朝食が楽しみだな!」
婆室「ふふふ。明日の朝食になるにはまずは寝ないといけませんねぇ」
爺井「そうだな。しっかり眠って喉の風邪も治さなくてはいけないからな」
婆室「……胸の中にお邪魔しても?」
爺井「もちろん。ここはいつだって君の場所だ」
婆室「……じゃ失礼しますね」
爺井 ぎゅっ
婆室「……暖かいのですぐに眠り直せそうです」
爺井「ああ。俺もだよ。Good night sweetheart.」

─チュッ♡