敢高2
「弟が…殉職したようです。」
そう言って諸伏は景光のスマートフォンを差し出した。
「…ハムか。」
察しのいい大和はそれを見て瞬時に気づいたようだ。
ハムとは公安の俗称のことだ。
「恐らく。連絡もなかったということはまだ解決していない案件ということなんでしょう。」
公安の潜入捜査官は殉職しても家族にその死が伝わるのはその捜査が解決したときだと一般的に言われている。
「この機種5年前に発売のやつだな。」
公安は専門外なので詳しくはないが潜入捜査するなら頻繁に携帯も変えているであろう。
使用度から見ても殉職したのは大体3〜4年前が妥当なところだろうと大和は推理した。
「…私と景光はある事件によって両親を一度に喪いました。
私はその時に支えてくれた警察の方に憧れ、そして景光を守れるようにと警察を目指しました。」
でも、私は景光を…たった一人の弟すら守れなかったのです。
その無力さに嫌気が差したんですよ。
頭ではどうしようもないことと分かってはいるのですけどね。
そう窓の方へと顔を向け話す諸伏に大和は口を開く。