>>790
あげるわね
アレロベよ!!アレロベ注意よ!!


ソシャゲのイベントで素材を一通り集め終わった頃にはもう日付が変わろうとしていた。
期間限定のイベントをパーフェクトに攻略するのは正直魔王を倒すよりも厄介である。
集中力と気力を使い果たしてしまったアレンは早急にエネルギーを補給する必要があった。
「ロベルトは…寝てるか」
チラリと隣を見やれば恋人のロベルトが眠っている
ベッドに入って3秒で寝る男だ。起こしたところでまたすぐに眠りにつくだろう。
アレンはそっとベッドから抜け出し台所へと向かう。
ソシャゲがある世界なので冷蔵庫だって勿論ある。その冷蔵庫を開けて生卵と夕飯の残りの野菜炒めを取り出した後、戸棚からサッポロ一番塩味も取り出す。
水を張った小鍋を火にかけ沸騰したところで麺を投入する。
3分経つまで絶対に麺をほぐしてはいけない!とロベルトがドラゴンを倒しながら言っていたのを思い出したのでその通りにすることにした。
この辺りでお腹がグゥ〜と鳴き出したがあともう少しの辛抱だ。
3分経ったところで、麺をほぐしながら粉スープを投入し、野菜炒めと卵も載せていく。
火力を最大にまで強めて白身がほんのり固まってきたら出来上がりだ。
アレンはその場で立ったままラーメンをすすり出す。
人前ではとてもできない食べ方だが、夜食は無礼講だ。
シャキシャキの炒めたキャベツがいい感じにラーメンの塩味とマッチしてるし、キャベツは消化にいいとスライムに負けた時にロベルトも言っていた。夜食で驚く胃にはちょうどいいだろう。
しかし、夜中に食べるラーメンと言うのはどうしてこうも背徳的な味がするのか。長年の謎は今に至るまで解けていない。
ふとアレンはロベルトの顔が思い浮かんだ。あいつは今まで夜食を食べたことはあるのだろうか。もしあるのなら、この背徳的な味の秘密を知っているかもしれない。
もしないのなら、この背徳的な味を他でもない自分が教えてやりたいなと思った。
知ってても知らなくても、たまにはロベルトと一緒に食べてもいいかもしれない。
明日、ロベルトには悪いがちょっとだけ夜更かししてもらおう。