唐突に異世界召喚された。
同時に前世の記憶が蘇った。
——そうだ俺は、かつて「賢者」だった!
賢者だった俺には、この召喚術を跳ね返す力がある。
元の世界に戻るために、俺は術式を展開した。
だがすぐに、これはマズイと気付いた。
相手側の召喚式がつぎはぎだらけの酷いものなのだ。さらには唐突に蘇った記憶のせいで、こちらも魔力調整出来ず力を全開にしてしまった。
その結果、双方の力が反発し合い、相殺されなかったエネルギーが吹き上がる。
このままでは、どちらの世界にも穴が空く!
具体的に言うと、あちらとこちらの魔法陣を中心に大爆発が起こるということだ。それこそ一つの街が吹っ飛ぶような。
それを防ぐために、俺は展開した術式をバラバラに切り離した。
同時に己の身体に宿る魔法紋章も。その数は七つ。
二つは先に吸い込まれた女の子の身体に、あとの四つはむこうがわに吸い込まれる。
一つは自分の中に残った。
これではあちらの世界に渡ったときに、魔力ゼロの丸裸の状態で放り出されるが、それも致し方ない。
二つの世界が吹っ飛ぶよりマシだ。
願わくば、あちらの世界で、食べ物と寝る場所に困る生活になりませんように……。