「違う!魘夢とはもう何回も寝てる・・・!彼ではなくて、その・・・・、あ、猗窩座と・・・・!」
顔を両手で覆いながら嘆くように杏寿郎が吐き出せば、隣の行冥から「へ?」と間の抜けた声があがった。
「猗窩座って、お前の元カレの猗窩座君?弁護士の?」
純粋に驚きを乗せる行冥の声に、杏寿郎はますます居た堪れなくなってしまう。
「どうしよう・・・!俺なんでこんなに節操がないのだろう・・・っ。セックス依存症なのだろうか??」
「杏寿郎・・・・」
「魘夢と付き合っているのに猗窩座とも寝るなんて・・・!もう最低だ・・・っ」
ソファに座り、前屈みになって頭を抱える杏寿郎の肩に行冥の手が置かれた。
「・・・・・・・それは、お前が猗窩座君をまだ好きだからじゃないのか?」
「そ、そんなことはない・・・っ!!」
顔をあげ咄嗟に否定の言を紡ぐ杏寿郎に、行冥からひどく優しげな眼差しが注がれる。
「気持ちがないのに、セックスできるほどお前は器用じゃないよ」
「・・・・でも俺は、猗窩座と初めて会ったその日にセックスした」
「惹かれたんだろう?会って話して、『彼なら』って思ったんだろ?」
「・・・・・・・・・」
どこか諭すような響きをもった言葉が、杏寿郎の胸の奥にじわりと染み込んでいく。