BL作品顔負けの小説を書いた江戸川乱歩、初恋の相手は男の子だった。
主人公の男ふたりが「嫌いにならないで」「この気持ちをわかっていてくれるだけでいい」と本筋そっちのけでいちゃいちゃする元祖ボーイズラブ『孤島の鬼』を書き、
古本屋で男色文献を買い漁っては同好の友人と「こんないい本あったよ!」「こっちはこんなすごいの見つけたよ!」と報告し合い、ゲイバーにも足繁く通っていた乱歩の初恋は15歳の頃だそう。
乱歩曰く、
「まあ初恋といっていいのは、十五歳(かぞえ年)の時でした。中学二年です。お惚気(のろけ)じゃありません。相手は女じゃないのだから。
それが実にプラトニックで、熱烈で、僕の一生の恋が、その同性に対してみんな使いつくされてしまったかの観があるのです。ラブレターの交換や、手を握り合えば熱がして、身体が震え出したものです」