――それぞれ演じる上で心がけていたことはありますか。

山中:感情が表情に出過ぎないようにというのは意識していました。蕪木は周りに本当の感情を隠しているので、基本的に感情を出し過ぎない。
たとえ驚くことがあっても驚いた表情はせず、隠すのが蕪木の特徴の一つなので、心だけ動かすようにしていました。

木村:原作を読むと尾上って一つひとつの動きや表情が大きいんですけど、それをどれだけ現実でナチュラルにできるかというのが課題でした。
まずは減らすことはできるからと思って、大げさにやってみたんですけど、やっぱり減らす作業が必要で。

だから原作のことは一旦忘れて、もし自分が尾上だったらこういうふうに話すだろうなという感じで話してみたら、
すっと役に入り込めるようになりました。

あとは、クランクインしてみないと相手のセリフの言い回しとか、間とか、わからないところも多かったから、
相手が言ったことをどう受け入れて、どう話すかというのも意識していました。

――その辺りのニュアンスはお二人で話すこともありましたか。

木村:監督も含めて3人で話すことはよくありました。まず本読みのときに、監督から「もっと自然に」って言われて。
それでいつもの自分のしゃべり方でやってみたら、今度は「クール過ぎる」って。