>>812
この記事何回読んでもすこ
当時の友達が、教えてくれた。どこにでもいるでしょ、情報屋みたいな友達が……その彼がすごい、すごいって大騒ぎしていた。
4割を打つかもしれないすごい選手がいるって。
イチローって言うんだって。
正直、誰だと思った。だって、知らないよ、鹿児島の田舎もんだから。おれは巨人戦しか見なかったし、ニュースの時間は寝てたから。だいたい、おかしいじゃん、イチローってカタカナだし。
すぐにスポーツニュースを見た。イチロー選手が打って、走る姿を見て、こんなスマートな選手がいるのかって、ビックリした。
あんなに体が細いのに誰よりも強い。誰よりも飛ばすし、誰よりも速い。

まさに、光だった。

イチロー選手のことが気になって、気になって、初めて自分のお小遣いで本を買った。それが、イチローのすべて という本だった。夢中になって読んだ、中学2年生のときのことだった。
そんなとき、鹿児島にイチロー選手がきた。
まず、シートノックを見て、ぶったまげた。肩、強えなぁ。
ホームランも打った。おれはちょうど一塁側のベンチのすぐ上の席に座っていた。ヒット2本と、ホームラン。
イチロー選手は細い体をゴムみたいにしならせて、右中間へ特大のホームランを打ったんだ。
イチロー選手はおれにとっての宇宙じゃなかった。もっと、もっと近くに見えた、光だった。