父の訓(おし)えが胸の底から沸き上がってきた。
武家は百姓に養われおる卑しき身分と心得よ。
いかなるときもおのれの利得を考えてはならぬ。
偉ぶるな。頭を下げよ。常に他人の立場を斟酌し、迷惑はかけるな。
そして、聡を知れ。

—— 浅田次郎「一路」国分七左衛門 娘薫への教え