0324Mr.anonymous
2021/07/10(土) 14:12:36.48ID:FoLsx/sLえ?その人俺じゃないけど??
じゃあ失明してからの話をもう少し詳しく聞かせようか
親父が失明したのは右目だけ
普段の生活にはさほど影響は無かった
でも片目じゃ満足に務まらない仕事が生業だったから
職場を去るしか無くなってさ
年齢的にも身体的にも再就職なんか難しくて
そこから急に元気が無くなって、何かひがみっぽくなった
それまでは快活な人だったんだけどな
車の運転も自分ではできないから移動は家族に頼るしかない
時々孫をドライブや買い物に連れ出してくれてたのが、
今じゃ孫のささやかなおねだりにも満足に応えられない
そういうのが積み重なって気弱で卑屈になってるのは見てて判った
そんな折に癌が見つかって、重なる不運に絶望したんだと思う
家族への負い目があったのかも知れないし、
自分自身のついてない人生を儚んだのかも知れない
その時はもう半ば自暴自棄みたいな心持ちになってたみたい
手術や治療で治らないステージでもなかった筈なんだが
その頃には「もういい」が口癖になってたな
家族でどうにか説得して治療を受けさせたけど、
治療薬が合わなかったのか、そういう体質だったのか、
はたまた治そうという意思が本人に残っていなかったのか
治療の効果はあまり出ず、病状は徐々に悪化していって、
遂には延命措置も断って、最期は痩せ細って逝ってしまった
通夜の前日、実家の居間に横たわる亡骸を見た時、
その身体のあまりの小ささに涙が出たよ
こんなになるまで苦しんだのか親父、って
あの時ゴーグルさえ着けていたら、もう少し長生き出来たと思う