>>152
私はビクティムのいた石段を上がり、箱罠を置きました。
ビクティムは一瞬茂みに隠れましたが、私が距離を置くとすぐに箱罠へ忍び寄ってきました。

一つだけ問題点がありました。
真夜中で、ターゲットが真っ黒ですから、
距離を置いて監視していても猫の姿が極めて見にくいのです。

これは改善のしようがありませんでした。
明かりを照らせば警戒しそうですからね...

ちなみにその晩、私はビクティムに敗北しました。
あろうことか、餌だけ持っていかれたのです。
私は静かに怒りを覚えました。
餌がなくなり、すぐに二度目を置きましたが、
食べて満足したのかその晩はもう戻っては来ませんでした。



餌だけ取るということは、箱罠の踏み板の位置を意図的に避けられていたということです。
私は踏み板を厚紙で隠し、リベンジに向かいます。

2日後の真夜中。
踏み板を隠した罠を持って再び
現場に行きました。

到着時には何も見当たりません。
私は罠を置くだけ置き、しばらく様子を見ることにしました。

約10分後、再びビクティムは現れました。
暗くて見えづらいものの、何物かが罠の周囲をうろついていることだけは分かります。
ターゲットが黒いですから、僅かなシルエットが動いたり消えたりするくらいでしか認知できないのですが、
その見えにくさでターゲットが黒色だと分かり、つまりビクティムだと分かったのです。
黒以外の毛をした害獣の場合はもう少し標的を視認しやすかったですから。

そして結果だけ述べると、
私はその晩もビクティムに敗北しました。
あろうことか、また餌だけ持っていかれたのです。

踏み板を隠してもなお、踏板の位置を把握され、意図的に避けられたのです。
私の胸は静かに煮えたぎりました。
海底火山のように、静かに静かに、血が燃え盛るのを感じました。
巧みに罠を細工したのに、それを見破られるどころか、
餌までも完璧に持っていかれるのです。さすがに二度目は屈辱でした。

私は頭を抱えました。もしかしたら勝てないかもしれないと思ったのです。
踏み板を隠す以上に巧みな細工があるでしょうか...

が、しかし、私は一晩で更なる策を思いついたのでした。