0214名無しさん@ピンキー
2024/04/10(水) 21:32:04.91ID:0i3eTQUgウナァ〜
そのふざけた甘え声を耳にした時、さすがに私は耳を疑いました。
ここは私の家の中です。私。つまりは黒ムツなのです。
裏の畑や近所ならまだしも、私の家の敷地内で害獣の鳴き声がするなど、これまで生活してきて一度もありませんでした。
何事かと思いましたが、何事もなにも、この声が聞こえるということは、そのまさかなのです。
今私がいるこのプレハブの外に、害獣がいるということです。
私としては信じられない出来事ですが、プレハブのカーテンを少しだけ開き、隙間から外を眺めると、なんといました。黒のgatitoです!
通路に置いてあるゴミのコンテナをカリカリと引っ掻いては、ウナァ〜などと一生懸命鳴いているのです。
その様子から察するに、雨を凌げる場所を探している。そして、なにか食べ物を探している感じでした。
さらには親からはぐれて、呼んでいるのかもしれません。
黒gatitoは立ち上がって一生懸命コンテナを引っ掻いています。しかし蓋には手が届きません。
コンテナからは生ゴミの匂いがするでしょう。それを食いたいと思うほどにコイツは空腹なのかもしれません。
また、コイツは体毛が濡れています。
結構雨の中を歩いてきたのしょう。
まあそんな事情は私にとってはどうでもいいのです。
私はなんだか、その光景を見ているうちに、ゾクゾクしてまいりました。
コイツは逃すわけにはいかない。そう感じているのかもしれません。
だっておそらくコイツは、あの夜、例の雑木林の家の敷地内で目が光っていた黒gatitoなのですから!
例の家が解体され、一家は住む場所をなくし、その結果コイツはこうして私の家の中に流れ込んできたのしょうね!
こんな再会の仕方があっていいのでしょうか。
まさかの展開すぎて、面白くてたまりませんw
ゾクゾクします。
私はプレハブの入り口の扉を少しだけ開いておきました。
このgatitoが雨宿りのために、このプレハブ内に入ってくるワンチャンスを期待し、
私は存在感を消して、中で待つことにしました。
もうこれでは事務作業どころではありませんw