>>869
今宵、私が到着したのは「鈴木さん」の家です。

どこの誰かは知りませんが、とにかく鈴木さんです。
玄関の表札にそう書いてあるからです。

この家は、いわゆる愛誤です。
玄関前から家の周辺に至るまでダンボールの猫ハウスがたくさんおいてあり、
その一つ一つのハウスの中に膝掛けブランケットが敷いてあります。

鈴木さんの家の周りには今宵も野良がたくさん。
おそらくですがこの野良共は図々しくも1匹につき1つのハウスを与えられています。
そしてどれが自分の部屋かを把握していて、必ず自分の決まったハウスの中で休んだり、眠ったりしているのです。

野良共は当然、敷地の外を平気で出入りし、公共の駐車場で堂々と昼寝をしている者もいれば、
よその家の車の下に入り込んだり、タイヤに小便をかけたりなど、やりたい放題しています。

まあ私はこの家の近所ではないんですけどね。
いち黒ムツとして害獣共を成敗しにきたわけです。
とは言っても私は気まぐれなので、今宵は一匹たしなむ程度に接待できればと考えておりました。

野良共の顔ぶれは結構前から知っています。
野良の数は、ダンボールハウスの数が全部で7個なので、
この鈴木が管理している野良は全部で7匹ってところだと思います。

多分ですが、この顔も知らない鈴木が近所で保護した野良を避妊して、
こうして家の周辺で自由に住まわせているんだと思います。

でもまあ外猫は害獣ですから、問答無用で今宵も拐っていきますか!

爺ちゃんの軽トラでお迎えにきたよ!
馬車じゃなくてごめんね!
さあガトちゃん、惨めなダンボールハウスを卒業しようね!


つづく