毎月一回、園芸通信を発行してた頃が懐かしいな
ちょうど今くらいの暑い時期だった

近所に外飼いの愛誤がいて、どの家か特定できていた
愛誤の茶トラ二匹はそこら中の民家の敷地に入りこんでいたため、
庭一面に忌避用の水入りペットボトルを並べていた家もあった

俺は月に一回ランダムな日に園芸通信という名の白々しいA4用紙を発行し、愛誤の家のポストに投函していた
ざっくりと以下のような内容である

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園芸通信◯月号 ◯◯地区用
野良猫による畑や庭の糞害に悩みを抱えていませんか?
もし酷いようでしたら缶詰の餌にカー用品のクーラント液を混ぜてご自宅の敷地内に置いておきましょう
他の動物に害はなく、野良猫だけを安全に駆除できます
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このあまりにもわざとらしい内容の通信簿が毎月愛誤の家だけに届くのである
こんな物が毎月自宅に届けば普通の人間は気付くものである
「このまま外飼いを続ければ、あなたの猫は駆除されてしまいます」
というメッセージとして受け取るはずである

しかし計6回の園芸通信を受け取った後も首輪を付けた二匹の茶トラは外出を続けていた

俺は6回目の園芸通信で最後にすると決めていたため、
問答無用で真夜中に愛誤の家の前に100%EG定食を設置し、
茶トラ二匹が完食したことを確認
バッチリお仕事を完了した

翌日に一匹の茶トラが愛誤の家の前でグッタリしているのを発見
もう一匹は見なくなった
グッタリしていた茶トラも2日後からは一度も見なくなった