一昨日の正午頃、ショッピングセンターのフードコート内の通路脇に
スノコ型展示架の板の隙間を利用して、短冊型の御札がぶらさがっていた。
「童貞ください 090−○○○○−○○○○」と細い楷書体のような文字が
筆ペンで書かれていたのを俺は思わず知らず発見してしまったのだ。
ただ、ちょっとした昼飯を食べに軽食屋に向かおうとして、いつものように黙々と
歩いてたんだが、なぜかその展示架に目がいってしまったというわけだ。
まるで釣り針が真横からとんできてひっかかり、瞬時に竿を思いっきり引かれたように。
俺は電話番号をメモするより前に、辺りをはばかりながら、こっそりその白地のお札を
ひったくったね。なぜなら、他のやつが童貞をもらわれるのは癪に障るからだ。
もちろん、もうすでに電話して脱童したやからもいるんだろうがね。
とにかく俺は、ひっこぬいて、ださいスラックスのポケット、それも淵がほころんでる
そこにねじ込んだね。こういうのはあやしまれないようにするべきなんだが、
やはりうれしさと期待が、俺を一瞬おちょうしものの道化にしたてたんだろう。
とにかく、トイレへと飛び跳ねるようにして向かった。