テーブルやカウンターには、所狭しと積まれた食器や惣菜の入った大皿が並べられ、客を迎える
雰囲気はない。ピリピリと緊張した空気が流れるも、「食事はできますか?」と尋ねてみた。
 「できるのは揚げもんやけど」ちょうど海老の天ぷらを鍋から取り出しつつ一言。「ええ、それ
]で大丈夫です」と言いつつ、食べ終わった食器が残るテーブル席に腰をおろした。場所柄な

のか花札のゲーム卓で代用している。
 ふと白いレースのカーテン越しに、外の景色を見やると、所在無さげにスマートフォンをいじ
る若い女性の姿が真向かいに。これまで関西に現存するすべてのちょん○間を巡ってきたけ
れど、ここまで明け透けな立地の飲食店は初めて。
 こちらへ近づく人の気配に我に帰ると、食器を片付けにきたのは、高校生らしき娘さん。
冷ややかな表情は、新地に遊びにきた不埒な客と100パーセント断定されているのだろう
。そして、調理を手伝う相似形の母親と合わせて、三世代の女性で営まれる店のようだ。