●ロシアで起きている軍需品と民生品のトレードオフ
どのような経済でも、輸入が減少したからといって、その分を国内で直ぐに代替生産できるわけではない。
加えてロシアの場合、国内で完成品を作るためにも、他国から中間財や資本財を輸入しなければならない経済構造を有している。
すなわち、ロシアが経験した9%の輸入減は、需要の減少以上に供給の減少という性格が強いものだ。

それに、この9%の財・サービスの輸入減は、ロシア経済の戦時経済化の下で生じた現象でもある。ウクライナとの戦争が長期化していることを受けて、ロシアでは軍需品の需要が高まっている。
一方で、生産に必要なヒトやモノはすぐには増えない。それどころか、ロシアでは生産に必要なためのヒトやモノは、むしろ減っている。