20年前の初恋
勝手に語って行く
高校3年の進路が決まった12月、アルバイトを始めたんだ
その当時、日雇い感覚で○ルキャストって言う短期派遣のバイトをしてた
バイト先の上司にハンコをもらって、その書類を事務所に持って行くと、手渡しか銀行口座にお金が振り込まれるって感じのラフなバイト
バイト内容も自由に選べて、都合の良い時間のバイトを選んでた、専ら引っ越しが多かったけどね その時に事務所の受付をしていたのが葉子
俺より3つ上で学年は4つ違いってのを後から知った 何回かバイトをして、葉子に書類を持って行く日々、葉子はショートカットに栗毛のストレートヘア
身長は160センチくらいのややぽっちゃり
目がキリッとして鼻筋が通って綺麗な顔立ち
話したいおねーさんだなーってその時から思ってた それから3か月くらい、バイトして事務所に顔を出すの繰り返し、もちろんみんな同じことをするんだけど、どうしても話をしたくなったんだ、でも、年下なんて相手にしてくれないよなって諦めてた そんなある日、書類を持って行こうとたまたま駅を歩いてたら葉子とバッタリ出会った…
葉子『あれ?龍くんじゃん、どうしたの?』
龍(ワイ)「こんにちは、今から書類持って事務所いくんすよ」
葉子『そうなの?じゃ、一緒に行く?』…
確かこんな会話をしたと思う
昔すぎて忘れた その話の中で、葉子は大学を卒業すること、卒業したらアメリカに留学する事、そのための準備をしながら事務のバイトをしてることを聞かされた… 取り留めなく亀スレになりそうだからとりあえずこの辺で寝る 4月にはワイも大学生、しかも今住んでるところから離れて京都に下宿生活が決まってたけど、どうしても葉子の事が気になってしまってその歩いている時に電話番号聞いたんだ
そしたら携帯じゃなく実家の番号渡された 葉子は留学とバイト、俺は京都で学生生活
特別付き合ってるわけでもなく、たまに実家に電話して、話してを数回繰り返した
そのうち葉子から「もうすぐ留学するから会えなくなるねー
私はアメリカ行くから龍くんも楽しんでね」と言われたよ
ワイも「じゃ、見送り行くよ!羽田だよねー」
葉子「もし来たらぎゅってしてあげる、でも彼氏もくるよ!」ってその時知らされた
ワイの中ではちょっと信じられなかった
まぁ、彼氏いるよなー…そうだよな
見送りどうしよう?って悩んだ 一応その電話の時、アメリカのホームステイ先の番号教えてもらってたから、まぁ、会えなくても良いから東京行こって、見送りの前日、京都から高校の同期が通ってる千葉の大学の住まいまで遊びに行った
当日、電車乗り継いで羽田まで行った
羽田空港は広かった…はっきり言って飛行機に乗ったことがない人が初めて行って、一人の目的の人物を探すのはウォーリーでも無理だと悟った
1人ベンチに座ってカタカタ回る空港表示を眺めて2時間くらいで諦めた 千葉に戻った後に同期に「会えなかったよー広すぎー笑」
って同期の大学案内してもらった
俺の通ってる大学とは違ってやたらと広い
なんで滑走路が大学校内にあるんだ?
バイハザードのマークとか、一面の芝生とかとにかく規模に圧倒されて京都に戻った
当時青春18切符はほぼ通年使えたから在来線で8時間くらい
ひたすら電車に揺られて帰りながら窓からの景色を見て俺って小さいなーって思ったのを覚えてる
全く何も知らないんだなって…
そんなこんなで京都の生活を再開した 京都は、それは地元の暮らしとは違って華やかで、でも千葉の同期のところよりは勝手が良く、自由にバイトと遊びに明け暮れた
学校はそこそこ行ってたけど、大した目的もなくダラダラと学校部活バイト遊びをテンポ良く過ごした
それでも公衆電話からアメリカへ電話するのには勇気がいった
アメリカ留学ってアメリカ着いたらすぐに入学できるわけじゃなく、半年は英会話教室みたいなところに行くんだってね
そこでそれなりに話ができたり語学力がないと入学できないらしい
でも葉子はスムーズに入学してた 半年か1年くらい経った時、思い切ってアメリカに電話してみた
初めて話ができたのは10分もなかったと思う
『Hello、I'm Ryo プリーズ call 葉子』ってフレーズとテレフォンカードの残額が数秒でカタカタ減っていってびっくりした記憶しかない
でも葉子も覚えていてくれて、学校の話や友達の話、ホームステイ先の話を楽しく話してくれた
また元気でねっ!みたいな話してたと思う
嬉しかった 話が出来たこと、覚えていてくれたことがすごく嬉しかった
と同時に、なんの進展もない事に落ち込んだ
その当時19になるくらいだったと思う、奥手なワイは未だ童貞、こんなことではいかんと遊びまくった
意外と簡単に出会いはあるんだな
近くの喫茶店の女の子、祭りに来てる女子高生
片っ端から声かけてデートして付き合って…とそこまでは行くけど、そこから後一歩が難しかった
下宿先には連れて行けないし、ホテルも金がきつい
バイトしまくって下宿から引っ越してアパート借りた
その当時は固定電話を持つのも定番でNTTの権利を買って電話番号を手に入れた
と、同時に携帯も持ったJフォンだった
もちろん、葉子には固定電話番号を伝えた 相変わらず数ヶ月に一度の電話
既にワイは大学3年も終わりかけで将来も目的もなく、淡々と生活してた
彼女と家に来てはエッチして遊んで帰る
たまに彼女が先に家に来てはご飯作ってくれる
それは普通の楽しい生活だった ある時、バイトから帰ったら彼女がいた
部屋に上がって『ただいま!今日バイトがね…』って話するなり「葉子って誰?」って聞かれた
『友達だよ、今アメリカに行ってるんだ』
「私よりも本当に好きなのは彼女でしょ?」
『違うよ、葉子には彼氏がいるんだ』
「彼氏がいるけど好きなんでしょ?」
『…多分違うと思う』
「葉子さんのこと忘れられないんでしょ?」
『そんなことない…と思ってる』
「じゃ、なんでここの番号知ってるの?普通教えないよね?」
「このままじゃ嫌、私帰る」
『送るよ』
「いい、今のままなら別れた方がお互いのためだから…留守電聞いてごめんね、帰るよ」
って出ていった
留守電?と思ったけど、目の前の彼女の怒りが収まりそうにないし、追いかけても全く振り向いてくれなくて、家に戻った 固定電話って当時はある程度必要だったんだよね
今じゃスマホだし、通話ってよりサイトやアプリを使って日常を快適にってツールだけど、その頃の携帯は名前の登録もカタカナでメールもすぐには届かなくて絵文字や顔文字ができるくらい
カラーになるのなんてさらに先だったんだよな 家に戻って何が起きたのかさっぱりわからなかったけど、彼女のいう「留守電聞いてごめんね」ってのが引っかかって再生ボタン押してみた
“あっ、龍くん?元気?葉子です!わかるかなー笑笑!
私9月に日本に帰ることになったよ!
無事卒業できるから、帰ったら会おうね!
じゃあね!”
…うん、嬉しいけど、タイミング悪すぎてびっくりだわ…
かかってきた時刻、彼女はちょうど家にいたタイミング
そりゃ、あの態度になるよなぁ… その日から数日悩んだ
今の彼女との生活を選ぶのか、彼氏がいて付き合えるかもわからない葉子のことを忘れるのか
葉子と連絡を取らないって事は、もう思い出の一部として残すだけ、とるにたらない事なんだけど、忘れるのは無理だった
だけど、今の彼女も大好きだ、優しいしよく俺のこと見ていてくれる
一緒にいたかった、だから、このまま京都か大阪にでも就職すれば彼女との将来も考えようって決めた 週末、彼女と連絡をとった
待ち合わせの場所まで車で迎えに行き、木造の昔ながらの喫茶店に入った
俺はコーヒーとシフォンケーキ
彼女は紅茶とティラミスを頼んだと思う
取り留めのない話をしながら普通のデートだった
…と思ってたけど
ワイ「美味しいね、今度家でシフォンケーキ作ってよ」
彼女『その前に何か話あるよね?』
ワイ「うん、留守電聞いた、何言っても言い訳になっちゃう内容だったね、ごめん」
彼女『そんな事はどうでもいい、どうしたいの?』
ワイ「もう連絡取らないからもう少し一緒にいたいって言ったら許してくれる?」
彼女『わからないし、多分無理』
ワイ「………」
彼女『だって、ずっと龍くんの中にあの人がいるんでしょ?
連絡取らなくても、私と一緒にいても1番奥にあの人がいるんでしょ?忘れられるの?』
ワイ「忘れられるかわからないよ、好きだったひとだし」
彼女『私といたいって言うけど、ちゃんとわたしの方向いていてくれないなら無理だよ、その人と連絡しない、番号は消す,それができないなら別れよ?』
その日はそのまま彼女を家の近くまで送って家に帰った つまらんくて聞いてくれてなくても気にしない
とりあえず、まだ長くなるし、多少脚色入ってるかもしれんけど、なんとなくダラダラ語っていく
そして今日はおしまい、おやすみ よく考えたら大学入って一年以上すぎてたら既に20前後だな
年代狂ってる
記憶も曖昧だなー、思い出しながらだから見てくれてる人すいません 数日後の朝、彼女に連絡をとった
今夜話がしたいと、バイトが10:00に終わるからそのあと家の近くで話そうと伝えた
その日、彼女との待ち合わせの場所に向かう前に家に帰って着替えてしようとしたら、部屋に灯りがついてた
彼女がいた…
合鍵渡してたの忘れてた ワイ「きてくれてたんだ、ありがとう、これから迎えに行く予定だったよ」
彼女『うん、とりあえずここで話せばいいかなって鍵持ってたし』
ワイ「そう、大事な話だよね…うん、ちょっと待ってね」
って言いながら着替えてた
ワイ「どうする?どこかお茶する?」
彼女『ここでいいよ、もう…』
ワイ(もう?)
彼女『無理じゃん!かないっこないし』
ワイ「いや…まって」
彼女『無理だよ』
ワイ「いや!こんな事で終わりたくない!一緒にいたいよ』
・
・
・
こういう時ってもう無理だよね 結局、固定電話を止める事、番号を目の前で消去する事を約束して彼女との付き合いが続くことになった それから数ヶ月で大学4年生の春を迎えてた
バブルが弾けて就職氷河期から少し経ち、みんなある程度の就職先と資格の時代なんて言われ出してた…
そう、就職を決めてなかった…
この時代、大学3年の終わりにはほとんど就職先が決まってて大手の8割は新入社員の募集は終わってた
焦った…俺何してたのか?何にも進歩してない、成長もしてない、はっきり言ってクズだった
何か資格取らないとって余計に焦ってた いざ資格とか言うけど、何にしたら良いのか全くわからないし、そりゃ、やりたい事はあったよ?だからってなれるもんじゃない、そこまで賢いならこんなくだらん生き方してないって
そんな愚痴言いながら理学療法士になるために大阪の専門学校に行くことに決めた
彼女には「卒業したら大阪の専門店学校に行くよ、離れちゃうけど、週末には会えるし、先のことも考えてるから!」って伝えた 彼女は、それから信じてくれたように今までと同じように接してくれた
おれの機嫌の悪い時も、喧嘩したり笑ったり、外食したりととても幸せな日々を過ごした ゴールデンウィークが終わってそろそろ7月の期末テスト前、家で彼女と過ごしながら勉強をしてた
その中で2人での過ごし方を話し合ってた
夏休みには家に帰って両親に進路の話をする予定も組んだり、遊びとバイト、彼女と上手に実家と京都の行き来を話してた その日夜も遅くなって、彼女を車で送って、家に着く頃携帯が鳴った【+1-910-¥&@¥&&¥&】
家まであと1分もないけど、そんな事は言ってられない!車を止めて、すぐに電話をとった
だって…アメリカからの電話だったんだ
ワイ「もしも、あっ、Hello?I'm…」
葉子『あっ、龍くん?良かった…あまり時間ないから聞いて!もうすぐ日本に帰るの!会ってくれる?』
…(いやなんて言えない)
ワイ「もちろん!待ってる!楽しみだよ!」
葉子『帰ったら電話するね!じゃ、それだけ伝えたくて!』
ワイ「うん!じゃ、また」
葉子『うん、じゃあね…』 とりあえず、ちょっと休憩
また後で、ゆっくりでスイマセン 彼女との約束を破ったこと、彼女がいるから連絡しないでって葉子に伝えられなかったこと、後悔した
情けない…22歳になっても全く成長してない
中途半端に生きてる
そろそろ本当にケジメをつける時だって思ったけど、決められなかった
そんな曖昧な生活の中で、期末テストを終えた
テストが終わって、彼女にも、葉子にも失礼な生き方にうんざりした
…しっかりしよう!はっきりと電話だけじゃなく、会って言葉で伝えようって…
8月に入ってお盆の前の週、実家に帰ることにした
その数日前、彼女と遊んだ
特別どこかのイベントに行ったとか遊園地でもなくぷらぷら街を歩いたりお茶したりした後、良くカップルが等間隔に並ぶ川に着いた 彼女『珍しいとこ来たね、何か話ししたいことあったの?』
ワイ「うん、付き合ってさ、色々あったけどすごく幸せで、ずっと居たい気持ちはあるんだ」
彼女『もしかして、まだあの人忘れられない?』
ワイ「…忘れる事は多分できないのかなー…忘れかけてたんだけどね笑」
彼女『ねぇ?私は龍くんの事大切な人だよ?でも真っ直ぐ私を向いてくれないなら、私無理だよ?』
・
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ワイ「今度、その人に会ってこようと思う…」
・・・
彼女がたちあがろとしたから、無理矢理手を掴んじゃった
ワイ「聞いて!お願い!」
ワイ「しっかり話してくる!中途半端でごめん!大事な事だから、それまで待っててなんて言えないから、一度お互いに離れよ?連絡してくれても良いし、時間が有れば会えば良い
でも今見たいになあなあにして、不安な気持ちのまま関係を続けられないんだ、ごめん」
…こんな感じの話した気がする
この後お互いに何も話さず彼女を送って行った
車から降りる時、いつもまたねっ!って手を振ってくれてたけど、こっちも振り向かずに歩いて行っちゃった…
そこだけは覚えてる 数日経って彼女から距離を置きたいってのと、当分連絡しないし、してこないでって言われたと思う
何も言い返す気もなかった、全てワイのせい
実家に帰る前、まだ手帳に残ってる番号に電話した
葉子の実家に…普通いると思うじゃん?
葉子はまだアメリカだった…
結局夏休みは、実家の友達と遊んで、親に専門学校に行くことを伝えて京都に戻ってきた 9月半ば、大学の単位はほぼ取り終わって、彼女からも連絡ないし、してないし、専門学校の入試の勉強してた
そんな時、知らない携帯の番号から着信があった
1回目は出なかった、でもまた同じ番号から電話がきたから出てみたら、葉子だった…
日本に帰ってきて今実家にいるって、携帯持ったからどうしてるかな?って連絡したんだと…来年高校の教師になるから教育実習でしばらく実家にいるんだって教えてくれた 落ち着いたら会いたいってことを伝えた
多分10-11月頃なら大丈夫って言われた
だから予定作ってってお願いした
10月の10日、体育の日って晴れの特異日
だからその日に会う約束したら運動会だから無理って言われた でも月末の土日なら空いてるよって言われたからその日にした
それまで大学の卒論と入試の勉強とバイトをぐるぐる回してた
金曜日から日曜日まで予定を全て開けて実家に帰った
葉子の実家はワイの家から車で1時間くらい
洗車して、近くのライトオンでやっすい服買って、ガソリン満タンでいざ!って…
予定の1時間くらい前に待ち合わせ場所についた
当然いないから、近くを見て回った
そしたら歩いてた笑
向こうは気づいてないからスルーした どうやら葉子も早めに来てくれてたみたい
待ち合わせに着いて電話した
黒の車だよーって、すぐに来てくれた
葉子『久しぶりっ!随分大人になったねー!』って笑ってくれたとろこまで覚えてる!
そのあと車の中で何話したのか?あまり記憶にないけど、決してつまらない事はなかった
むしろ、4年ぶりに会う葉子はさらに大人の女性になってた
化粧や香水、話し方から前とは違って、楽しいし、話がうまい!
洗練された人になってた 軽くお茶して近くの公園に行った
この時期は秋風が爽やかで良い天気だった
何故か自然と2人で手を繋いで4年ぶりとはとても思えないくらいしあわせな時間だった
葉子『ねぇ?話があるんだけど良いかな?』って石畳みの所に座った
ワイも肩が触れないくらいの距離に座った
葉子『ねぇ?どうしてきてくれたの?龍くんなら彼女できててもおかしくないでしょ?』って直球だった…
ワイ「そりゃ…言わなくても分かりそうなんだけど?彼氏とうまくいってないの?」ってトンチンカンな返事をした
葉子『うん、彼は今日本にいないの…青年海外協力隊でアジアにいるの…』
ワイ「連絡取れるなら寂しかったら電話すれば良いじゃん」
葉子『そんな簡単じゃないんだよ?衛星電話だし、なかなか繋がらないし、声聞こえにくいし繋がらないことの方がほとんどだよ』
ワイ「でも好きなんだ」
葉子『長いからね…でもわかんない』
ワイ『時間空いたからこっちに連絡したの?』
葉子『違うよ!会いたいからだよ!嫌だった?』
ワイ「嬉しかったよ!見送りに空港行ったんだよ?会えなかったけど笑」
葉子『そうなの!?連絡くれれば時刻と場所教えたのに!』
ワイ「うん(いや、実家に連絡しましたけど…いませんでしたやん?)」
葉子『でも来てくれてありがとう、ねぇ?来年からどうするの?こっち帰ってくる?』
ワイ「大阪に行く予定だよ、専門学校に行くよ!だから3年は帰ってこないつもり、葉子は?」
葉子『私は高校の教師、とりあえずこの地元と彼の職場の地域の試験受ける予定なの』
ワイ「そっか、じゃあ、これだけは確認したいけど良いかな?」
葉子『ん?何?』
・
・
・
ワイ「おれ、葉子のこと初めて会った時に好きになっちゃってた、彼氏がいるのも聞いてたし、どうして良いかわからなくて気がついたら4年経ってた笑、葉子のことが好きなんだ」
って、付き合ってとはいえなかった… 葉子は…どんな顔してたか覚えてない
その話してる時下向いてた
多分無理して会ってくれてたのかなー?わからないけど…
少し時間が経って、周りは風の音しかしなかった…
急に葉子はこっちを向いてぎゅって抱きついてきた
葉子『空港でできなかったこと、今するね、ありがとう』
ワイ「うん」ってしかいえなかった…
お互いの体が離れてすぐ
葉子『ねぇ?龍くんはきっと良い人に出会える、私は私でやりたいことあるから、たまに連絡しても良いかな?迷惑ならやめるけど…』
ワイ「彼女いたら出ないし、葉子が悲しいことがあったり何か悩んでることがあったら連絡して!」って即答した
結局、ケジメもつけられず、なんとなーく振られたのか繋ぎ止められたのか良くわからん感じだったけど、スッキリした
前を向いて頑張りたいなって気持ちにしてくれた
別れ際、2人で「ありがとう、またいつか会おうね!」って握手した
俺、異性の友情とか信じなかったけど、この時初めてあるのかも…って思った 過去を思い返して思い出して記憶を辿ってって懐かしくなる、
特にひとりの女性にスポット当てて、記憶の断片繋げると、こんな感じのこと言ったわーとかここ行ったよなーって思い出せてその当時の記憶が写真みたいに戻ってくる
後半分くらいなんだけど、もう少し話聞いてくれると嬉しい
とりあえず今日は寝ます 寝ようと思ったけどもう少し…
葉子と遊んだ日の帰り、実家に着く前に近くのコンビニに寄った
缶コーヒーとタバコを買って吸いながら考えてた
4年かかったけど、想いは伝えられたし、コレはもう終わった恋なんだよな
これからは新しい自分のための生き方を探さなくちゃ
まだまだこれから頑張ろって、前向きに思った、
葉子の事は思い出の一部、こんなこともあったなーって笑える日もあるってそう思った その後卒業まで、あっという間に時間が過ぎた、まずは卒業と入試に向けてやることが多くて、8月以来、彼女とは連絡もしてないし来ないし、もはや彼女でもないってのが頭の中にあったんだと思う、結局自然消滅だった…
専門学校に入学して家賃36000のアパートに住んだ、駅から自転車で15分、学校まで30分、川沿いの3回建ての鉄筋だった
一度、阪急に乗って梅田に向かってる時に彼女から電話来たけど、電車内だったし出なかった
その頃すでに葉子のことなんて頭の中に全くなくて、大阪の楽しい生活を満喫してた
昼間は病院でアルバイト、夜学校、週末梅田に遊びいくそんな生活の繰り返し、大阪ではいつもいく美容院でカットしてくれる子と付き合った、葉子や京都の彼女と違って体の線が細くて、眉墨してる可愛い子だった
エッチするとすぐにお腹が痛くなるみたいでエッチしなかった、楽しかったけど、「私のことちゃんと見てくれてないでしょ?」って言われて振られた
しばらくしてお金が貯まったから専門学校2年の時、バイクの免許を取った
バイクは楽しかった、専門の友達と日本海へツーリングに行った、その帰り連れが事故った、バイクはそのまま放置して、とりあえず大阪まで帰った
金が欲しくてバイトを追加した
バイトは病院と並行してテレアポのバイトを週末に入れた
その時に直の上司に当たる香織と出会った
香織は、笑うと左の八重歯が見えて、優しくおとなしい上司だった…プライベートで会うと実直な姿が綺麗だった
好きっていうより先にもっと香織のことを知りたくて、一緒にいたいって伝えた 平日はバイトと学校、週末にバイトその日の夜か次の日の朝バイクで香織の家にいき、一緒に過ごした
香織の生活は淡々としていた
週末は家の近くのブックオフで文庫本を買い、夙川まで行くと街を歩いた、気に入った喫茶店に入って、ケーキとコーヒーを頼んだ
そこでお昼くらいか夕方までその本を読み続けた
一緒に行ってた最初は、とてもつまらなかった
こんな子がいるなんてって拍子抜けした
ワイ「ねぇ?どうして俺といてくれるの?」って聞いたら
香織は『龍くんが私といたいんでしょ?』って答えた
不思議な感覚だった… ある時、香織から『ねぇ?いつまで一緒にいるの?』って聞かれた
「大阪で就職したら一緒にいてくれないかな?」って答えたら
『多分無理だよ?』って言われた
「一緒にいちゃダメかな?」って聞いたら
『うーん、合わないよね?』って言われた
わからなかった、
『私のこと見てないでしょ?』って…
それから1ヶ月くらい会うのをやめた よくわからないことが多かった
単に寂しかったから一緒にいたいって思われてたのかな?とか、好きとかなんだろう?って24になっても、全くわからなかった 結局テレアポのバイトを辞めた
その後香織と話をしたが結局別れることになった、もう付き合ってる人がいるって言われた
でもそれほど悲しくなかった…そんなもんかって思ってた
専門2年の冬、実家から連絡が来た、親からの電話は珍しい
案の定いい知らせではなかった
「お父さんが倒れたの…」
ドラマか!って思った反面、少し驚いた
詳しく聞くと、心臓が良くないらしいが、今は安定してるって事と、お前はやりたいことがあるならキチンとやりなさい、目的を持って頑張りなさいよって言われた 淡々と日常が過ぎていく中、付き合っては別れ、出会っては別れるの繰り返しで彼女という彼女はできなかった
周りでは、週末は彼女と過ごす奴らばかりで、一人でバイクに乗って出かけてた 琵琶湖を一周した、京都へ足を運んだ、姫路城、岡山、広島へとツーリングに行った、途中雨が降ったり路上の鉄板にタイヤが滑りバイクが180度くるっと回って死にそうにもなった… そんな時、夜中にバイクで右矢印の交差点を右折したら横断歩道に人がいた、全く見えてなかった、
人を跳ねた
相手は腰椎骨折だった
医療にこれから携わろうとしていたからバイクを手放した
3年の夏には病院のバイトと学校と家の往復だけ、たまに買い物したり必要なもの買う以外は、外に出なかった
3月の国試のために勉強するしかなかった 日常生活の中で、彼女も作らず、淡々とすぎる日常って居心地悪いものだと思ってた
実はそうでもないんだな、意外と慌ただしく過ぎていく中でリズムを作るって大切なんだなって感じた そんな時、携帯に着信が来た
滅多にならない着信音にドキッ!っとした
葉子からだった… なんでさ、電話くるの?
今更何?だって俺、振られたじゃん?
俺なりのやり方で想い伝えてダメだったじゃん?
もう過ぎた思い出なのにどうして連絡してくるの?
友達だから?話聞いてくれる異性の友達だから?
どうして?なぜ?
って電話が鳴ってる間、ずっと考えてた
それでも数十秒程度だったと思う 色々と頭フル回転で戸惑ったけど、携帯の着信をとった
ワイ「もしもし?…」
葉子『もしもし、久しぶり!葉子!元気にしてる?』
ワイ「今、仕事しながら学校行って、年明け試験だから勉強してるよ(特別な感情ない感じで、普通に喋ることを意識してた)」
葉子『あっ、ごめんなさい、迷惑だった?』
ワイ「大丈夫!何年振りかな?3年?くらい経つよね?学校の先生になれたの?」
葉子『うん!なれた!今埼玉の高校で英語教えてるよ!』
ワイ「そうなんだ、おめでとう!頑張ったんだね!」
葉子『でねっ!伝えたいことがあって…』
ワイ「うん!どうしたの?」
葉子『あのね、結婚することになったの!』 ごめん、ちょっと疲れた…
でも休みのうちに書き終えたい
もう少しで終わります そういうことか…って思った
葉子の中ではもう仲のいい異性の友達、大切な友達だから、連絡くれたんだって思った
漫画とかだと胸にズキンって響くような絵が書いてあるけどまさにそれよ!
悔しいとか悲しいとかそんなとこじゃなく、虚しい感じ?が一気に襲って来た
と、同時に本当に全てが終わったんだなって感じた
だから、せめて今までのお礼も含めて何かしてあげたくなったんだ
ワイ「おめでとう!ついにだねっ!上手くいって良かった!連絡なかったし、どうしてるかって気になってたけど、連絡していいかわからなくて迷ってたよ!」
葉子『龍くんは調子どう?上手く言ってる?』
ワイ「恋愛のこと?そんな簡単なわけないじゃん笑!上手く言ってても、彼氏さんのいるところに連絡できないよッ!」
「でも、良かったね〜!結婚式はさすがに呼べないねー?」
葉子『やっぱ無理だよね?』
ワイ「そりゃ友人で新婦側に男いたら変でしょ?笑」
「でもお祝いしたいから、近く埼玉に遊びにいくよ!祝日ならなんとか行けると思うけど、どうかな?」
葉子『本当?来てくれるの!じゃ、祝日空けとくね!11月の頭に連休あるよね?その日とかどう?』
ワイ「オッケー!じゃあ、その日にいく感じで調整してくれる?」
葉子『わかった!少し前に連絡くれると嬉しいな!』
ワイ「うん!そうする、ありがとう!」
葉子『じゃ!また!』 そう伝えて電話を切った
その日は,先に予定が入ってた
先輩たちとの食事会、まぁ、コンパだ…
断りを入れ、着々と旅行の準備をする
って言っても持ち物なんて大したものは持っていくつもりはなかった
朝早く行っても着くのは昼過ぎだし、夜は出かけても一人でホテルかスーパー銭湯で一晩過ごすだけ…
持ち物は下着の替えくらいで、それもコンビニで買えば済む話だから簡単な持ち物しか用意してなかった… 予定日の10日前くらいの夜に葉子に電話した
到着はお昼過ぎになること、最寄駅を教えてほしいって事、旦那さんにはキチンと断わりを入れて欲しいってこと、心配なら旦那さんも一緒にどうぞって伝えた
朝早く大阪を出て、東京へ向かう、その足でさらに新幹線で移動して在来線で乗り換えて目的の駅へ
乗りながらメールを葉子へ送った
改札を出て葉子に会った 車で迎えに来てくれた葉子に出会った時は、嬉しくて仕方なかった!好きな人っだったって事をはっきりとわかってた
ワイ「久しぶり!3年経ってるとは思えないねー!」
葉子『よく来たね!今日はちょっと長くドライブするよ!』
ワイ「えっ!そうなの?楽しみだなー笑、お祝いだから食べたいものがあったらなんでも言ってね!ご馳走様するから」
葉子『えー!良いよー笑、来てくれるだけで嬉しいよ!ありがとう!』
ワイ「遠慮しないでね!で?どこに連れて行ってくれるの?」
葉子『まずはねー!日本のグランドキャニオン!行ったことある?』
ワイ「ん?ナイ笑、実は群馬までしか上は来たことないんだよ?」
葉子『そっかー!それなら楽しみだね!let's go!』 って事で、ちょっとしたドライブになった
旦那さんは乗ってなかった
聞いてくれるなよ?みたいな空気もあったのか知らないけど、お互いに旦那さんの話は出なかった
話と言えば、出会った頃の昔話やアメリカの生活話、俺が出会って付き合った女性の話題がほとんど、なんとなくは先に書いたけど、そんな話を過去のこととして面白く話した
楽しい時間はあっという間だね山道をくねくねと走らせて目的地に着いた
着いたって言っても、何にもないんだね足尾銅山って…
歴史に詳しくないけど、ここが公害の成れの果てなんだなってのはよくわかった
草木も何にも生えてないんだもん
無性に悲しくなった… ワイ「本当に何もないんだね」
葉子『そう、何もないの…初めて見た時は悲しかったなー』
ワイ「そうだねー、時代とはいえ無茶したんだね」
葉子『だねっ、ここ、何もないからたまに一人で来るんだよ、私の好きなところの1つ笑笑』
ワイ「お腹すいちゃった笑、帰りにどこか寄って行こ!」
葉子『うん!じゃあ、どっか寄りましょうかね!』
ワイ「はい!お願いしまーす笑♪」
って車に乗り込んだ