好きな上司にキャンプに誘われて俺は一線越えを覚悟というかほのかに期待していた
その時からテントはひとつしかないけど、どうやって泊まる?って何回か聞かれてたけど、焦って変なことを言ってしまいそうで言ってから考えます!のひと言で乗り切ってしまった
でもふたりきりのキャンプファイアが始まり、夕餉を歓談とともに楽しくゆっくり過ごし、いよいよテントで眠りましょうってなった時、
彼が別々に寝よう!同じテントで寝てて朝になって抱き合ってたらお互い嫌だろう?
と切り出され、俺は嫌とも言えず陽気にハイハイわかりましたよォ~と拗らせることもなしに内心は渋々、自分のクルマに戻って朝までまんじりともせず、なんとも煮えきれぬ想いと切なさを抱いたまま夜明けを待った
沢の水で顔を洗って眠れてなくて腫れた瞼を水に浸したタオルで直して、彼の元に行くと既に起き出していて火を起こし、朝餉の支度中だった
何故か彼は不機嫌
昨夜の陽気さと快活さがまったくなくて、驚いた
キャンプを出る時も彼を先に行かせて後ろで手を振ったのになんだか元気なさげで意味がわからなかった