秘話 大谷翔平「二刀流の血脈」
<第24回>「プロでやっていくには優し過ぎる気がした」
公開:15/05/02 07:00 

プロ1年目から二刀流が注目され、「10勝、10本塁打」をマークした昨季は年俸も1億円にハネ上がった。いまをときめくプロ野球のスター選手なのに、久々に成人式で会った同級生たちには近寄り難い雰囲気を感じさせなかった。

 3年7組の担任だった太田和成(38)は「(成人式で大谷に)会った友達も『全然、変わらなかった』と言っていたので安心した」そうだ。

太田が「安心した」のは、ただ単に、大谷が有名になったとたんテングになったり、かつての友達に対してお高くとまったりしなかったからではない。

 プロ野球は生き馬の目を抜く世界。隙あらば他人を蹴落としてでも這い上がろうという連中がごまんといる。大谷の能力がいくら高くても、そういうシビアな世界に身を置いて、果たしてやっていけるのか、太田はかつて心配したことがあるのだ。

「プロで騒がれると変わるとか、テングになるのが多い? 少しくらいそういうのがあった方がいい気もしますけどね。プロ野球選手って、もうちょっと勝ち気で、オレがオレがというタイプの方が大成するというイメージがあったんです。

なので大谷がプロに入ると聞いたとき、正直、大丈夫かなと。中学時代の大谷は困っている子がいれば助ける、物を忘れた子がいれば貸してあげる生徒でした。プロでやっていくには優し過ぎる気がしたのです」

大谷が自分の長所を生かしながら、プロで成功したことに太田は「安心した」のだ。