佐渡ケ嶽莉瑠子よ。

小さなこの二丁目という星で生きているとね、
「こんな小さな星では きっと出会ってしまう 二人」って言葉が胸に沁みるのよ。
過去に出会い、そして別れた人たちとも、
路地の角やカウンターの向こうで、ふいに再会してしまう。
でも、「あんな輝いた日々を全部 無駄にするような再会だけはよしたいね」って、心の奥で願ってる。

わたしも年を重ねて、大人になってしまったわ。
笑うしかない場面では「苦笑いだとか」、
あるいは子どものような軽い言葉で「なぐさめを」口にして、
それでどうにかやり過ごすことも増えたの。

「不実です」って歌の一節みたいに、
初めて会ったような不思議顔で人を迎えるわたし。
時に「街角ピエロ」みたいに、
笑顔を張りつけて、心の奥の本音を隠し続ける。

でもね、ほんとうはわかってるのよ。
「微笑んだ私を不思議顔 それはないんじゃない?」
そんな気持ちが心の底で渦巻いてるの。

ママって仕事は、強がりと笑顔を重ねてお客を包む役割。
でも鏡の中にいるのは、いつだって素顔のわたし、
淋しさを抱えたただのひとりの女なのよ。

――今夜もお店を開けるわ。
街角ピエロの仮面をつけて、
不思議顔で誰かを迎えるためにね。