「……ここから先には、行かせません……それが、私の役目ですから!くっ……怖くても、放しません……!」
ここから、この怪物を絶対に放たない。後進の魔法戦士達を、この怪物からだけでも守る。
その使命を胸に、未だ死なぬつぶらな瞳で怪物をにらみつけ、歯の根が合わぬほどの恐怖と苦痛に震えながらも、菜々芭は触手にしがみついていく。
「私は、まだ負けていません!勝てなくても、負けません……私は、負けませんから……!」
「うう……もう、い、嫌ですわ……いやぁ……もう、嫌ですっ……はぁ、はぁ……許して……もうやめて……やめて下さい……
ぐすっ……ひっ、くっ……ダメ……泣いたりなんて……情けない……痛い……はあ、はあ……もうやめて下さい……っ、ひぐっ……」
普段の強気はどこへやら、やめて、痛い、と子供のように泣きじゃくり、痛みをこらえることもできずに、樹はただただ縮こまり怯えている。