いきなり晩飯の買い物ときた。ハンバーグ。――またメシの話か。いやな記憶がよみがえる。開始3クリックでゲームを閉じたくなる衝動が俺を襲う。
いやよそう。今回は違う。探偵ものでもないし、浅草でもない。それに、ちゃんと陵辱のあるゲームというのは確認済みだ。
自分を奮い立たせて、トラウマから逃げるように物語に向き直る。
すると、あまり可愛くない妹が登場した。
少し太っている。そしてメシの話をしている。きっとデブキャラなのだろう。はやくヒロインにでてきてほしいところだ。
適当に読みすすめると、突如タコがおそってきた。
腹をえぐられる主人公。内臓が地面にとびちる。泣き叫ぶ妹。そこへ助けにくる変身ヒロイン。
いいね、もえるシチュエーションだ。
そして始まったのは、内臓をまきちらした主人公と変身ヒロインのギャグ会話だった。
…勘弁してくれ。 瀕死の人間がそんな能天気な会話できるわけないだろ。こういうのホントに求めてない。
おう…おっふ… ヒロインの中にはいった主人公の意識が、ヒロインのボイスでセリフを喋る。
いや…いらないです。中身男のセリフなんて別に聞きたくないです…。はよカードゲームはじまれ。
念じていると、ついにゲームのルール説明がはじまった。
しかし、ルールブックの直読みである。さきほどまで賑やかに会話していたキャラは何のためにいたのだろうか?
どうでもいい会話には茶番いれたいけど、ルール説明を楽しくするのは面倒なので手抜きでいいや、という製作側の熱い思いがつたわってくる。
当然、頭に入ってこないので読まない。
そのままカードゲームに挑めばどうにかなるだろ。こういう初戦は、勝てるように出来てるんだからさ。
…負けた。
負けていた。数分後、俺は負けて画面にはリトライを促す文字列が表示されている。
なんだこのクソゲー。娯楽性のかけらもない。なんで俺はこんなものにさわってしまったんだろう。後悔だけがつのる。
だが、ひょっとしたら。
ルールを理解さえすれば、面白くなってくるのかもしれない。
まだだ。クソゲーではない可能性が僅かに残されているなら、まだ批判すべきではないんだ。
そんな一縷の希望にかけて、俺はリトライを選択した。